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虎に翼90話(重遠の孫)

もし止められていた
としたら。


太郎「裁判官も我々も
たまたま戦争に行かねえで済んだ。そらろも、もし徴兵されてたら
若けもん が死なんで
済んだかもしんねえ..
でもそんげこと思っても
しょうがねんだて。
我々は無力ら。
どうあがいたって
戦争を止めらった訳じゃ
ねんだっけ」

(そう思う事でしか、
心の平穏を保てない。
太郎は、
「戦争を止めさせよう
した事があるだろうか?
多分、ない。
「戦争を止めさせよう」
思った事があるだろうか?
多分、ない。
「戦争が終わる」事を
願った事は、多分、ある。
のだろう)

航一「もし止められていたとしたら?

総力戦研究所にいたんです。
昭和15年に設置された内閣総理大臣直轄の研究所です。
研究所の目的は総力戦の本質を明らかにし その運営の中枢人物たる...人材を育成すること。

僕たち研究生は 模擬内閣を発足させ机上演習を行いました。
結果は・・日本が敗戦
その理由は資源の自給率低さなどさまざま。
何度も演習を重ねましたが
その結果が覆ることはなかった。

僕らは机上演習の結果を報告した。当時の国の中枢を握っていた人たちの前でね。

万に一つも勝利はなし。
日米開戦は避けるべきと模擬内閣として提言いたします。
戦争のあとまでお考えでしょうか?

でも彼らは言った。
『これは机上演習であって
実際の戦争とは全く異なる..
この演習の結果は政府の方針とは何ら関係ない

僕らは口外禁じられ
解散となりました。
その後 戦争は
机上演習をなぞるように進み、
そして日本は敗戦した」

次郎「市民にできることなんか
ねかったんですよ」

航一「もちろん僕一人が何ができたかなんてたかが知れてる。
でも...
佐田さんや杉田弁護士のように大事な人を失った人間が大勢いる。
その責任みじんもないなんて
自分は従ったまでなんて....
どうしても僕は言えない」

(航一に出来たかも知れない事。
①「机上演習」の秘密報告書
を作る。
②理解を示してくれそうな人々に配る。
命を賭けるつもりならば、
①は可能かも知れない。
②は実際に命がかかる。
航一は、
そこまで踏み込まなかった)

その罪を僕は誰からも
裁かれることなく生きている。
僕はそんな自分という人間を
何も信じていない。
そんな人間が 何かを変えられる
とは思わない。
だから 謝るしかできないんです」

太郎「おめさんはよっぱら苦しんだ...。
だけえ 気に病むことはねえ」

(慰め合って生きていくしか、無いのだろうか⁇)

   ・・・・・

今、分かっていて
出来ないこと


人間活動が地球環境
大きく破壊している。
このままでは、破局的事態を招きかねないことが分かっていながら、
流れを変えるほどの手は
打てていない。
多分、もっと大きなダメージ
受けなければ、
方向転換は無理なのだろう。

私達も、航一と同じ「机上演習」の結果を知っているのだが...

         光

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