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「一姫二太郎」一人の女性を二人の男が奪い合う?? (連載:外から見る日本語第2回目)

バンクーバーの習い事教室STEP AHEAD LEARNINGです。

当教室にて、まもなく日本語講師養成講座(初級編)が開講されるのでそれを記念して、日本語教師歴25年になる講師の矢野修三先生に 「連載:外から見る日本語」を執筆していただくことになりました。

長い長い日本語教師歴を通して感じた日本語のフシギを短いエッセイ形式でお届けします。

日本語を教えることに興味がある人も、単なる雑学としても、だれでも楽しめる内容となっております。

それでは はじまり はじまり。



最近の若者はこの「一姫二太郎」を「一人の女性を二人の男が奪い合う」という意味で使うと聞いて、明らかに冗談だろうが、思わず笑ってしまった。もちろん、正しい意味は子を授かる場合、「一番目が女の子で、二番目が男の子だと育てやすいので理想的」である。


 でも「子どもは女の子1人、男の子2人の3人が理想的」、こんな意味だと思っている人も少なからずいることが、文化庁の調査で判明している。確かにこの解釈もおもしろいが、この「太郎」は古くから「長男」の意味を表わしているので、やはり人数ではなく、順番が本来の意味である。


 また、この表現は、後継ぎである男の子を期待されたお嫁さんが最初に女の子を出産、その時の慰めの言葉としても使われていたようである。なるほど。


 しかし、昨今日本でも大きな課題となっている少子化問題。その要因とされる未婚化や晩婚化、また「子どもは1人で十分」などの風潮が高まる現代の若者世代にとって、確かに、この「一姫二太郎」はあまり意味がなく、上記のジョークが出てくるのも頷ける。時代とともに変わりゆく、消えゆく「ことわざ」も多々あり、ひょっとしてこの「一姫二太郎」もそんな運命に。いと寂し。


 さらに、勘違いや思い違いをしている「ことわざ」も多いのでは。一例として、「二の舞を(踏む・演じる)」どちらか、と問われたら、かなりの人が「踏む」と答える。


恥ずかしながら、小生もサラリーマン時代は、てっきり「二の舞を踏む」だと思い込んでいた。日本語教師になり、先輩から注意されてびっくり。「舞い」であるから「演じる」が正解である。


 これは「ためらう・躊躇する」などを表わすことわざ、「二の足を踏む」があり、これと混同して「二の舞を踏む」という表現が広まったといわれている。確かに、気をつけねば。

使い方としては、親父が株で損をしたことを知っている息子は友人から株を強く勧められても「二の足を踏む」。でもつい手を出して、やはり親父と同じように損をしていまい、「親父の二の舞を演じてしまった」となる。


 加えて、人に誤解されやすい「気の置けない人」や「奇特な人」なども要注意。でも、今はSNSの進歩で、どこにいてもすぐ調べられるのでとても便利。でもでも、あまり便利過ぎるのも良し悪しで、「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」かも。


 悲惨なウクライナ侵攻や怪しげな気球飛行などいろいろキナ臭い事件が多いこんなご時世、先の第一次、二次世界大戦の二の舞など演じないよう、ただ祈るばかりである。



いかがでしたでしょうか?

今日「一姫二太郎」を初めて聞いたという人もいるのではないでしょうか?日本語も非常に奥が深く、新しい英単語を学ぶ時の新鮮さが母語である日本語を学ぶときにも尽きませんよね!

本エッセイを執筆された矢野修三先生が、4月16日からバンクーバーの弊社STEP AHEAD LEARNING のオフィスにて、0から日本語教師を目指したい人向けに日本語教師養成講座(初級編)を開講します。


オンラインからも受講可能!
(上記日付はバンクーバー時間となります)

最初の1日は無料とオリエンテーションになっているので、興味がある人は奮ってご参加下さい!

詳細はこちらから。

https://stepaheadlearningcanada.com/japaneseteacher/




本エッセイは執筆者である矢野修三先生から許可を頂いて転載しております。

執筆者プロフィール:
矢野アカデミー元校長
矢野修三先生

矢野アカデミーのサイト:

https://yanoacademy.ca/


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