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オマケを漢字で書くと「御負け」!? (連載:外から見る日本語第13回目)

バンクーバーの習い事教室STEP AHEAD LEARNINGです。

当教室にて、日本語教師歴25年になる矢野修三先生による日本語講師養成講座(初級編)がまもなく開講される予定で、日本語の面白さをもっと多くの人に知ってほしいという思いから 「連載:外から見る日本語」を執筆していただくことになりました。

長い長い日本語教師歴を通して感じた日本語のフシギを短いエッセイ形式でお届けします。

日本語を教えることに興味がある人も、単なる雑学としても、だれでも楽しめる内容となっております。

それでは はじまり はじまり。


最近「十干・十二支」にすっかりハマってしまい、中国の友人や生徒に、古代中国の古き歴史なども含めて、いろいろ調べてもらった。とても勉強になり、お礼を申し述べた。その際、この「勉強」という言葉にあれこれ花が咲いた。


 日本語教師として、中国人学習者を教えるのは、英語圏の生徒を教えるより、比較的楽である。それは漢字が分るから。もちろん発音は全然違うが、漢字で書けばかなり理解してくれるので、気が楽である。


 しかし、日本語の意味とまるで違う漢字も結構あり、驚きと笑いを何度か経験した。例えば、「手紙」である。かなり昔だが、中国人の初級クラスで、黒板に「親に手紙を書く」と漢字で書いてしまい、生徒たちの戸惑いの顔が忘れられない。なんと、中国語では「トイレットペーパー」だと分かって、びっくり。確かに、「手紙」は「手の紙」だから「トイレットペーパー」のほうがふさわしいかも。


 この「勉強」にも驚いた。中国語では「強制する・無理にさせる」とのことで、「学習」などの意味は全く無く、なぜ? と、強い疑問を抱いた。でもはるか昔、この言葉が日本に伝わってきたときは、当然中国と同じ意味として使われていたようだが、文明開化の明治時代に、この「勉強」を「学問・学習」の意味として、使い始めたとのこと。えー、これまたびっくり。


 でも確かに、「勉」や「強」は「しいる」という意味があり、「勉強」とは「無理にさせるものなり」。今まで考えたこともなかったが、大いに納得である。

特に明治初期は、西洋に追いつき、追い越せのご時世、この「勉強する」を「学問に励む」の意味として、意識的に若者たちが使い始めた、当時の若者言葉だったのでは・・・、

そんな思いを募らせている。


 この「勉強する」には、もう一つ「値段を安くする」という意味が辞書にも載っている。商い言葉として、日本独特のなかなか粋な用法だが、今どきの若者世代はほとんど使っていないようで、ワーホリなどの生徒に聞いても、大半が分らず。いと寂し。


 こんなこと調べていると、懐かしい言葉に出会えた。「おまけ」である。子供のころ、グリコの「おまけつきキャラメル」を思い出しながら、「おまけ」の語源や漢字に、またまた、びっくり。商売の売り買いで、「お客に負けた」、この「負け」に「御」をつけて、「御負け」とのこと。えー、ホント。今まで全く知らず、日本語教師として、恥ずかしい限りだが、うーん、なるほど。でもこの漢字の「御負け」はとても馴染めず、

知らないほうが良かったかも。


 この「おまけ」と「勉強」の関係を中国の日本語上級者に話すとかなり盛り上がる。「先生、もう少しおまけしてください」は、授業料のことかな・・・、

でも、「先生、もう少し勉強して」は、わざと両方の意味をかけて・・・、

こんな手ごわい生徒が現れないことを願いつつ。


本エッセイを執筆された矢野修三先生が、4月16日からバンクーバーの弊社STEP AHEAD LEARNING のオフィスにて、0から日本語教師を目指したい人向けに日本語教師養成講座(初級編)を開講します。


時間はバンクーバー時間です。
オンラインの受講も可能です!


最初の1回は無料とオリエンテーションになっているので、興味がある人は奮ってご参加下さい!

詳細はこちらから。

https://stepaheadlearningcanada.com/japaneseteacher/




本エッセイは執筆者である矢野修三先生から許可を頂いて転載しております。

執筆者プロフィール:
矢野アカデミー元校長
矢野修三先生

矢野アカデミーのサイト:

https://yanoacademy.ca/


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