映画日誌’23-17:エッフェル塔~創造者の愛~
trailer:
introduction:
パリのエッフェル塔を設計したギュスターブ・エッフェルの伝記に、創作を交えて描いたラブストーリー。資金不足や反対運動の憂き目に遭いながら、エッフェル塔の完成に尽力する姿を活写する。監督・脚本は2023年公開予定の『三銃士』の映画化二部作に抜擢されたマルタン・ブルブロン。『真夜中のピアニスト』などのロマン・デュリスが主演を務め、『ナイル殺人事件』などのエマ・マッキー、『ソーリー・エンジェル』などのピエール・ドゥラドンシャらが共演する。(2021年 フランス/ドイツ/ベルギー)
story:
ニューヨークの「自由の女神像」の制作に協力したことで名声を得たギュスターヴ・エッフェルは、3年後の1889年に開催されるパリ万国博覧会のシンボルモニュメントの制作コンクールへの参加を要請される。最初は無関心だったが、友人の妻アドリエンヌの一言で奮起し、「パリの真ん中に300メートルの塔を全て金属で造る」と宣言する。だが、倒壊を恐れる住民や景観破壊を主張する芸術家たちによる反対運動で建造は中止になってしまう。
review:
パリの象徴・エッフェル塔のことはもちろん知っているが、建てた人のことはあまり知らなかった。と言う訳で、どちらかと言えば誰もが知る歴史的建造物の物語が見たくて鑑賞。その人ギュスターヴ・エッフェルが「自由の女神像」の建造に関わっていたことや、エッフェル塔の完成までに資金難や反対運動などたくさんの困難があったことを初めて知った。
が、あくまでも本作はエッフェル塔建造の「プロジェクトX」に創作のロマンスをまぶしたフィクションだ。冒頭、史実をもとに自由に創作したお!というテロップが出る。お、おう・・・。どこまでが史実なのかちょいとググってみたところ、若い頃のエッフェルが「アドリエンヌ」という女性と恋に落ちて結婚まで考えていたこと、階級的なことで周囲の反対に遭い、愛が叶わなかったことは史実らしい。
乗り気ではなく一度は断ったモニュメント制作を一転、48時間後に引き受けたのは何故か?ということの仮説として、過去に愛した女性への秘めた想いがあったのではないか?ということらしい。まあ、モテたいドリブンのモチベーションを仕事に持ち込む傾向は男性のほうが強いような気がする(当社調べ)が、絶対違うと思うぞ。と思うくらいには、一時が万事描写が甘かった。
塔の建設にまつわる描写も中途半端だし、ロマンスも結局創作だから消化不良で、何もかもボンヤリとした印象。エッフェル塔がどんな時代にどんな風に建てられたのか、という点では興味深く観たけれど、創作ロマンス1mmもいらないなぁ。実際のエッフェル氏は、先立たれたとはいえ妻とのあいだに5人の子に恵まれ、子孫に囲まれて穏やかな晩年を過ごしたらしいし。アドリエンヌを演じたエマ・マッキーが魅力的だったのが救い。
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