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その124 国栖へ行きて帰りし物語。(前編 吉野アンバサダー)

こんにちは。

以前SAGOJOさんの募集をしていた吉野アンバサダーに参加し、去年11月半ばに現地に二泊滞在しました。
こちらはその時の吉野アンバサダーでこなしたミッションのお話です。

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宿泊拠点「TENJIKU」に宿泊しつつ、本来は宿泊地域でお手伝いをすることになっていたのですが、今回は吉野アンバサダー用に四種類のツアーが用意されており、そこへ向かってレポートを出すミッションをこなしていくことになりました。
その中で選んだものが、一番遠い国栖(くず)地区にある浄見原神社へのルートでした。

選んだ理由は誰も行かないであろう遠さでした(笑)。国栖地区は吉野町の端にあたる地区で、端っこってどんな感じだろうかという好奇心です。
あとは日本書紀に記されている神社と聞いて興味がわいたことです。奈良県の神社は建物などの造りや祀り方の形式が古いところが多く、大学時代から民俗学で取り上げられた神社へ足を運ぶことが楽しかったからでした。

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移動はコニュニティバスです。一日券をもらい、バスの時刻とルートも確認し(吉野町内には4つのバスルートがある)、乗車時に降りるバス停を伝えると、「どこへ行くんだ?」
浄見原神社と伝えると、なぜか神社の入り口で降ろしてもらえるという。コース内容の資料には南国栖のバス停でしたが、運転手のじいちゃんの話で行くとそのバス停手前にある神社の入り口で降りるといいよと言う。。。
なんでやねんという突っ込みを心の中で入れつつ、無事に到着するのかの不安を抱えながら出発しました。

目的地まで乗客は私一人、運転手のじいちゃんの沿道案内で行きました。当時の地元の昔話から沿道にある神社仏閣の説明まで、かなり充実した時間でした。おかげで説明なく窓を眺める時間はありませんでした。
案内のあいだに挟まれる個人的な考察は、郷土史とともに歴史全般にかなり詳しくかなり勉強されているであろうお方でした。
国栖に近づくにつれてこのあたりの土地に詳しいなあと思っていたら、お住まいが国栖でした。運転しながら自宅の位置も教えてもらいました(笑)。
そんな話を聞いていたら神社の入り口に着きました。

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何度もここを歩いて行け、お参り済んだらここでバスに向かって手を挙げるんだぞ、と教えてもらいバスから降りました。バス停じゃないところで降りていいのかな?と思いながら案内の通りに神社へ歩いていきました。
周りは平日のためか静まりかえっています。人が歩いている気配もないところを歩くのは少し不安になります。ひょうひょうと音を立てて風が吹き抜けます。都会ではひたすら音に溢れている生活なので、久々の環境です。
少し歩いていくと、社務所と駐車場らしき広場に出ました。
うろうろあるいてみたものの、写真でみた本殿は見当たらず。Googleマップを立ち上げてみると、地図上の目的地と現在地がかなりずれています。

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あたりを見てみると社務所のある丘の左側、崖の奥に看板がみえました。最近道なのかわからない道を抜けて神社仏閣めぐる機会が多かったせいか、Googleマップで座標を確認しつつ細い崖沿いの狭い道を進むことにしました。
その道は普段から参拝される方がいないせいか、けもの道と重なっているようでした。まずいなと思い、急いでスマホのネットラジオのアプリを開けました。熊や動物避け対策です。まさかこんな人の気配のないところへ踏み込むとは、今回の旅では想定外でした。
音は吉野川の流れと少し強く吹き抜ける風の音が聞こえるのみ。それに崖側でドングリが風にあおられてぽとぽと落ちる音が大きく響きます。
川のカーブとともに道が曲がった先の狭い階段を上ると、写真で見かけた社に着きました。

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東屋のような建物(拝殿か?)の奥には岩を削った階段があり、その最上段に本殿が静かに祀られていました。この拝殿と本殿の間に賽銭箱が結界のように置かれてました。すぐ横は切り立った崖で、張り付くように建てられている感じです。
まずはご挨拶をと賽銭箱の前に立ち柏手を打つと、あたりの静寂を断ち切るようなとんでもない大きな反響をした上に何度もそれがこだまして、吉野川の向こうに消えていきました。
通常、柏手を打つと「パン!パン!」と当りに響くか響かないくらいの音がしますが、この神社で打つと「パアアアアアン、パアアアアアン、アアアアン、アアアン、ンンン」と一人で二拍手だけ打ったのに反響と残響が凄まじくて大人数で打ち鳴らしたようでした。まるで野外音楽堂で打ったような響き方です。まさか、人生で初めて自分の打った柏手の音にビクンとするとは思わなかったです(笑)。
ここで国栖奏という、応神天皇が吉野行幸の際に奏じたといわれる歌舞を年に一度奉納するときはどんな状態になるのだろうか。現地で実際に聴いてみたくなりました。

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しばらく拝殿に場所をお借りしてしてコーヒーを淹れて一服し、この後の道のりを確認しました。
「ここのバス停の時刻表を撮っとくんだ」と、じいちゃんに急かされて撮った写真とGoogleマップを頼りに徒歩で戻ることにしました。

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時刻表見ていてわかったのですが、どうやら国栖地区に入るとコミュニティバスはフリーライド区画に入るようです。フリーライドとは、バス停以外の場所でもバスに向かって手を挙げるとバスに乗れたり、運転手に事前に伝えるとバス停以外の場所で降りられるシステムです。ほかの旅をした地域で知った、山あいの地域でのバスの乗り方です。
道理でバス停ではないところで降ろしてもらえたり、乗る時も「手を挙げろ」と言っていたのかと謎が解けました。
思えば、運転手のじいちゃんは話の合間に人影があるたび徐行していたのを不思議に思いました。どうやら、それはその人がバスに乗るかどうかの反応をみていたようです。

長くなりそうなので、一旦切って続きます。

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