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逃げてばかりの子でした

小中学生時代の私は、

「おとなしい」

「物静か」

「無口」

「地味」

「おしとやか」

そう言われるような存在だった。

クラスの中では地味なグループ。

恥ずかしがり屋で、赤面症で、

人見知りで、吃音(きつおん)症で、

とにかく目立つことが苦手だった。

当時の自分が私の最大のコンプレックス。

もう、とにかくコンプレックスの塊。

国語の授業で音読の順番が回ってるたび

しぬほど緊張した。

音楽の歌のテストなんて最悪だった。

体育のマット運動と跳び箱が

恥ずかしくて嫌いだった。

縄跳び大会、シャトルラン、

頑張れば最後まで残れたのに、

最後まで残ると全員からの注目を浴びるから
途中でやめていた。

人の視線がこわかった。

どうしても縮こまってしまう。

皆んなの前で何かを発表するとき、

委員会のお知らせをするとき、

必ず先生に「声が小さい!」と言われた。

日直は出席番号準だったから、

その日が近付くと4日前から緊張した。

そして日直のとき、

「起立!」

頑張って自分なりに大きな声を出している。

「そんな声じゃ誰も聞こえません」

と先生が言った。

声は小さいけど、このシンとした教室で、

さすがに全く聞こえないはずはない。

でも先生がそんなことを言うもんだから、

誰も起立してくれない。

「起立!…起立!」

・・・

そのとき、

一番前の席の男の子だけが起立してくれた。

1人で勇気を出して立ってくれた。

彼は恥ずかしくなったのか顔を赤くしながら

立ち続けてくれた。

「起立!!」

やっと彼に続いて皆んなが立ってくれた。

この光景を鮮明に覚えている。

勇気ある素晴らしい男の子だった。

学校では大きな声を出せと教えるが、

出せない子の心は尊重されず怒鳴りつけられる。

委員会のお知らせをするために
給食時に下級生の教室へ行ったときは、

年下の子達に見つめられる中、

「声が小さい!!最初からやり直し!!!」

と、何度も怒られ、やり直した。

私は上級生なのに…

屈辱。

恥ずかしくて悔しくてその後トイレで泣いた。

弱々しい、か弱い、

そんなイメージを植え付けられているようで

悲しかった。

でもか弱いのは事実で、

1人で積極的に行動することは苦手だった。

自分に負け続けていた。

幸い、足が速かったのとピアノが弾けたので、

運動会の選抜リレーや、
合唱コンクールのピアノ伴奏は活躍できた。

あれは確か5年生の時の運動会、

途中で雨が降ってグラウンドが最悪の状態の中、

最後に盛り上がる種目の選抜リレーが行われた。

皆んな泥んこになって走り、転ぶ人が続出し、

それでもバトンを繋ぐ感動的なリレーとなった。

なのに、肝心な第一走者の私は、

跳ねる泥がかかるのが嫌で全力で走らなかった。

本気で走れば一番にバトンを渡せたのに。

キレイなまま、恥をかかないという恥をかいた。

人生で初めて強烈に後悔した。

まさに自分に敗北した瞬間である。

負けず嫌いなのに、熱意だけはあるのに、

私はいつも自分を一歩押し出せない子だった。


高校時代の部活ですらも、

皆んなを全国大会に連れて行くという
熱い想いだけは上等で、

でも、
人前で喋るのが嫌で部長には立候補しなかった。

副部長になった。

本当に逃げてばかりだった。

リーダー気質なのに、

筆頭は人に任せて二番手、三番手にばかりいた。

当時の自分では無理だった。

現実ではリーダーに、一番にはなれなかった。


だけど、

人は変われる

と、私は断言できる。

自分の信念のもと、

積極的に行動できるようになる。

自分で自分がリーダーになれる舞台は作れる。

私は今、自らが創った世界のリーダーである。

現実の学校では、当時の自分には、

到底できなかったことをやり直している。

新しい青春を創造している。

人は環境にかなり左右される。

輝ける場所、能力を発揮できる場所というのが

それぞれ必ずある。

私の場合、それが創作の中にあった。

私の場合、自分のリーダーという立場だった。

今でもバイト等で上司や先輩がいる輪に入ると、

私の能力は抑え込まれてしまう。

人に合わせ、ニコニコペコペコ謙遜していると、

弱かった過去の自分が蘇り、自尊心が削られる。

どうも弱い子になってしまう。

自分の上に人が居る環境ではダメ。

圧迫感がない場でないとダメ。

自分のことは自分で決め、
全て自分の思い通りにしたい。

ワガママな子共みたいな大人になってしまった。

か弱くて地味で大人しかった幼い頃の自分を
今の自信で塗り替えてあげる。

もっともっとギラギラできる場所に
連れて行ってあげる。



なかなか強くなれない人、

きっと変われると信じて、動いて、

羽を広げられる場所を見つけられますように。

桜哉。

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