【ほめるは成長への促し.叱るは挽回への励まし】【「ほめる・叱る」と「おだてる・怒る」は、全く違うコミュニケーション】
「ほめる・叱る」というコミュニケーションは「育成のコミュニケーション」という部類に入ります。
「ほめる・叱る」と「おだてる・怒る」は、実は全く違うコミュニケーションなのです。ここを混同すると、全く目的は達成できませんし、相手からの信頼も薄れてしまいます。
では「ほめる・叱る」と「おだてる・怒る」の違いとは一体なんでしょうか?一言で言うと、「相手中心」と「自分中心」の違いです。
「ほめる・叱る」は「相手」の「存在を肯定」して、「意欲」を喚起して、最終的には相手の「成長」を促すコミュニケーションです。
これに対して、「おだてる」は自分が相手から攻撃されないように、相手を持ち上げる「自己防衛」のコミュニケーションになります。
そして、「怒る」は、「自分の感情を剥き出しにしている姿」と言えます。上司が部下に対して「怒っている時」というのは、「何度言わせればわかるんだ!」「私を舐めているのか!」などと怒鳴ったとしても、部下は白けて冷静に「何一人で興奮しているのだろうか?・・・」と全く聞く耳を持てないのです。
まして、同じことをしたにも拘らず、自分は怒られて、他の人は怒られなかったとしたならば、上司への不信感を抱くことでしょう。
したがって「育成のコミュニケーション」と言うのは、「相手中心」の「ほめる・叱る」というコミュニケーションになるのです。
そして、「ほめる」=「成長への促し」であり、「叱る」=「挽回への励まし」となる。したがって、上に立つ人には、不可欠なコミュニケーション能力が「ほめる・叱る」ということになります。
一般的には『「叱る」より「ほめる」方が易しい!』と思われがちですが、私は逆で、「ほめる」方が難しいと考えます。なぜならば、相手を「ほめる」時、指摘した点が、相手にとって頻繁に指摘される点だと、言われた本人からすれば、「またそこか」「いつも言われるところだ・・・」などという思いが先行して、なかなか相手の心に響きません。
つまり「効果的なほめ方のポイント」とは、「本人も気付いていない箇所」やもっと言うと「本人がコンプレックスやトラウマのように思っている箇所」などをほめることなのです。こうなるとかなり高度なコミュニケーション能力となります。
そして、実はこの点こそが「叱るコミュニケーション」より難しく、ほめるコミュニケーションの醍醐味と言われる所以なのです。どういうことかと言うと、「その相手に常に関心を持って、日常からよく観察しする!」ということがなければ、なかなか本人も気付いていないようなことを指摘することはできないからです。
また、この時に考えておかなければならないことの一つに、「受け手の返し方・反応の示し方・伝え方」によっても響き方が全く異なってくるということです。
例えばA上司の部下BさんとCさんがいたとします。A上司が二人に指示した仕事に対して、Bさんはとにかく早く済ませることをモットーとして、リアクションは早いのですが、未完成形で持ってくることが多いとします。これに対してCさんは、提出までに多少の時間はかかりますが、まず修正はなく仕事の完成度は高いでした。
ところが、その部下2人の評価をするA上司は「仕事は早く!」を重視する上司だったのです。そして、Cさんが報告に来ると「君もBさんのように早く持ってくると良いね!」と言うのでした。
Cさんは大変不満でした。「A上司は一体何を見ているのだろうか?Bさんは報告は早いけれど、ミスが多く何度も修正して結果的には時間がかかっているのに、・・・」と納得がいかないのです。
もしも、A上司がCさんに対して、「君の仕事は正確で信頼ができるので、私も本当に助かってるよ!」と評価したならば、cさんは「A上司はちゃんとした評価してくれている!」と実感し、ますます意欲が出ることでしょう。
このように、上司の「見方・考え方」一つで「ほめる」という「育成のコミュニケーション」になるかどうかの分岐点となるという点も押さえておきたいところです。
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