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オンライン時代に求められる話し方⑦「ジェスチャー」

 あなたは人前で話すときに「ジェスチャー」はよく使いますか?・・・私は30年以上に渡り企業のコミュニケーションやプレゼンテーション研修を実施してきましたが、残念ながら我々日本人あまりジェスチャーを使わないような気がします。

 私は、大手教育機関の「話す力」の通信教育教材としてテキストの作成と共に、当時は珍しかったDVD教材視覚情報も作成した経験があります。

 普段から研修などでは、「例えば、3点あります!と言ったら、指3本を示すジェスチャーをやりましょう。」と強調して伝えることが頻繁にあります。

 そして、ある日このDVD教材のためのスタジオでの撮影に立ち会いました。この時にいつも言っている「3つありますと言った時に指3本のジェスチャー」を行った場合とそうでない場合の比較映像を撮影しました。

 私はこの時、欧米人のように、肩を上げたり、両手を大きく開いたりするようなジェスチャーなら目立つけれど、「指3本位ではあまり影響ないのでは?」と正直思っていました。

 さて、モデルさんが「ポイントが3つあります!」と言って「指3本のジェスチャー」をした場合とそうでない場合の比較映像を見てびっくりしました。

 たった指3本を示すだけのジェスチャーでも、それを行わない場合は、なんとなくその言葉が流れてしまいあまり印象に残りませんでした。ところが指3本を示すジェスチャーを行なった場合は、光の速度で聞き手の視覚に伝わってくるので、程よい「刺激」となり、鮮明に脳裏に写り「3つ話すのだな」「まず一番目は〜」「そして2番目は〜」「最後3番目は〜」と知らず知らずのうちに、話し手の話に集中している自分がいました。

 例えば、誰かと待ち合わせて、相手がキョロキョロと周囲を見渡しているような場合、自分の存在をいち早く知らせる手段として「手を上げる」「手を振る」ということを行います。すると相手はすぐに気づいてくれるのです。

 しかし、この時に注意しておきたいことは、ジェスチャーを使う箇所は事前に「チェックとリハーサル」をしておくことです。

 例えば「ポイントが3つ!」の時の「指3本」のジェスチャーでも、色々なやり方があります。

 私がお勧めするのは、一番スタンダードな「人差し指と中指と薬指の3本」を示すジェスチャーです。そして「第1番目」で「人差し指」、「2番目」で「人差し指と中指の2本」を示します。そして「3番目」で薬指も含め指3本を示すのです。

 たったこれだけのジェスチャーですが、この他のやり方として、左手で最初に指5本を開いて、手のひらを聞き手の方に向け、右手で左手の親指から順番に、人差し指、中指と「折り曲げていく」というやり方があります。

 このジェスチャーのやり方は、聞き手側から見える光景としては、親指を折り曲げて「1番目!」と言った瞬間折り曲げた1本の親指よりも残りの「4本の指」の方が目立ちます。しかも左手の親指を折り曲げる時の右手の指の使い方も人差し指1本なのか、中指と2本か?薬指まで入れた3本なのか?・・・中には右手の5本の指を使って左手の親指を曲げる人もいるのです。

 こうなると聞き手は混乱するばかりで、話の内容どころではなくなってしまいます。そして、この時重要なことが「リハーサル」で「指の折り方」を「チェック」していないと、自分が行なっているジェスチャーのやり方や順番すら認識できなくなっているのです。こうなるとジェスチャーは「逆効果」になってしまいます。そして、この他にも「小指から折る人」「右手と左手交互に行う人」「ものを投げるように横に向かって指を出していく人」等々、ちょっと立ち止まって観察してみれば、「たかがジェスチャー、されどジェスチャー」だと思いませんか?あとは海外との違いなども考えるとチェックしておかなければならないことはあまりにも多くあります。  

 しかし、ZOOMなどのオンライ式コミュニケーションの「ジェスチャー」のやり方については、大きく分けて2つのポイントを守りたいものです。

 まず最初が「胸から上で行う」ということです。ZOOmの場合胸から上しか画面に映らないことが多いです。この時に胸から下でたとえ力強くジェスチャーしたとしても、全く聞き手には見えないのです。

 そして2番目のポイントは「早めに出して、ゆっくり収める」ということです。ジェスチャー「視覚情報」の有効活用ですので、まずは光の速度で聞き手の視覚に訴えて、話をしている時は集中して聴けるように、ジェスチャーを「フェードアウト」のように「ゆっくりと収める」ことがポイントになります。

 このように、オンライン時代の話し方の「視覚情報」としての「ジェスチャー」の使い方を紹介しました。


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