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報告の会話術6つのポイントの(4)・(5)・(6)

  ⒋【悪い報告ほど早く!】:私が尊敬していたマネージャーから言われて非常に戸惑った言葉があります。そのマネージャーは、私が新人の時に事業本部長という雲の上の存在の人でした。

 その人がご縁で私の部署にいらして、一緒の職場で働くようになりました。営業をやっていた私は、「いち早く成果を上げて手柄話接点に、事業部長と話がしたいと考えていました。

 そんなある日のこと、扱っていたシステムの機械の不具合等が出た時でした。その事業部長が全体会議で言った言葉衝撃を受けました。

 「私のところへは、現場で起きている問題だけもってきなさい!なぜならば、私は問題を解決するためにいるからです。そして、手柄話や良い結果の報告一切聞きません。その理由は、良いことは放っておいても良い方向へと進むからです。もう一度言います。私のところへは現場で起きている問題を持ってきてください。」我々の組織が最優先すべきことは現場の問題点いち早く解決することなのです。

 手柄話を接点に事業部長と話したいと思っていた私は、見事にその気持ちを裏切られたと同時に、「現場の問題」と言っても、普段からこまめにお客様のところへは訪問しているので、特に問題もないし、どうしたものか?」と困っていました。

 しかし、事業部長と話すためには、なんとか現場の問題を発見しなければと考え、どうせ何もないだろうとは思ったのですが、いつも訪問しているお得意様に「弊社の機械の件で、何か問題点などお感じになっているところが有りましたら、教えていただけますか?・・・(ないに決まっているよな)」

 と次の瞬間、お客さまの口から「実は君には言っていなかったのだけれど、技術サービスの担当の人が気になることを言っていてね。・・・」と今までに聞いたことがないような問題点を指摘してきたのです。

 「問題があれば当然お客様の方から伝えてくれるはず」と思い込んでいた私がいたことに気づかされました。そして、この日以来私は自社の製品の問題点について質問するようになると、ありとあらゆる問題点が発覚してきたのでした。

 報告は「速やかに」「スピーディーに」と自分に言い聞かせていたのですが、この時の前提条件が「良い報告」「手柄話」だったのでした。

 よくある企業の「謝罪会見」などがニュースで流れます。しかし、この時にはすでに遅く、社会的な責任問題にまで発展していることが少なくありません。実は、このような場合にも、現場から上がってくる報告が遅くなっていたり、情報を偽って取り繕ったりした結果となっています。

 組織としては問題をいち早く発見して、対応していかなければ組織の生命すら危うい結果となり兼ねません。このような事情から「悪い報告や問題点ほど早く報告!」は決して忘れてはいけない重要ポイントと心得ておきましょう。

⒌【意見は最後に】:報告の時の内容について、よくあるケースとして「意見と事実と混同して報告してしまう」ということが挙げられます。「前から話していたんですよね。たまに調子が悪くなるって。でも、スイッチを入れ直せば大丈夫なようことを部下のAさんからも聞いていたので、私も一安心していたのですが、考えてみれば、あの時にちょっと気になった一言を言っていたんですよね。・・・」などと「取り止めのない話」になってしまうのです。

 こんな時はまずは結論、つまり事実を整理してきちんと伝えましょう。そして、自分の意見は意見で最後に別途分けて伝えるようにすれば、聞いている相手も話が整理できます。まずは結論から先「一言で言える」ように、簡潔な表現ができるようにしておきましょう。その後、事実の内容は基本的な5W1Hでわかりやすく整理しておきたいものです。

⒍【ニュアンスを伝える】:上記4の項目でも触れたように「悪い報告ほど早く」というものがありました。しかし、実際はお客様等の話の内容から「良し悪し」を判断するのは結構難しいものです。まして、そん知らせる手段が「非対面」の電話やメールによるお知らせだったりすると、「その緊迫性の度合い」や「困っっている状態」等の把握がしにくいものです。

 このような時こそ、実は大変重要になってくるのが、「お客様との日常の人間関係」なのです。日頃から挨拶や会話をして、お客様の仕事の流れルーティーン・ワークなどを把握した上で、お客様ごとの「特徴」や「仕事の進め方」や「性格」などの詳細情報などもわかってくれば、お客様と朝一番で挨拶したその瞬間などに、「いつもと違う!」というニュアンスを感じ取ることができるのです。

 実はこのような、ほんの些細なことのように見える「ニュアンスの違い」をキャッチできるかどうかによって、それを聞いた上司次のアクションへの的確な判断というものが可能になってきます。この段階で的確な判断ができるということは、他社との間に「大きな差」を作り一歩も二歩もリードできる可能性が生じたと言えるのです。

 例えばお客様との会話において、「いつもとのちょっとした違い」「違和感」を感じたら、そのことを自分勝手に判断しないことです。例えば、いつもなら熱心に聞いてくる新製品情報をたまたまその日はうわの空のような浮き足だったチグハグな会話になっていたとしたら、「きっと、上司に叱られて気分が滅入っているのだろう」「あるいは、家庭で気になることでもあったのだろう」と自分の勝手な考え「推測」して、その時の「気になったニュアンス」報告しないことで、上司の判断ができずにいたならば、折角手に入れそうになった「成約へのゴールデンキー」ゴミ箱に捨ててしまうようなものです。

 上司への報告の時に、最後に「それとちょっと気にかかったことがありまして、…」と言って「お客様のいつもとの違い」「ニュアンスの違和感」などを上司に伝えてみることです。

 すると上司は、「よく伝えてくれた。実は競合の○○社が新製品を出すという情報を耳にして気になっていたところだ」などと、現場のニュアンス聞いた上司の判断によって、展開が全く思わぬ方向へと変わることがあります。

 同じ情報でも、それを受け取った相手の知識や経験によって、その結果は大きく違ってくるということを肝に銘じておきたいものです。

 


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