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2023/5/29 あなたの笑い声を聴いた気がした

映画『aftersun / アフターサン』を観に行った。2回目だ。

先日この日記で「よく分からなかった」という感想を書いた。

しかし、その後何をしていてもこの映画の事が忘れられなかった。あのシーンが、あの音楽が、あの表情が、あの波の音が、脳内で再生され続ける。これはちょっと只事じゃないかもしれんと思い、再鑑賞しに映画館に駆けつけた。

2回目観ることでかなり腑に落ちる事がたくさんあり、ついにダバダバと泣いてしまった。

以下ネタバレ…というタイプの映画でもないけど、特にそういうの気にせず書くのでとにかく何も情報を入れたくない人は今すぐ閉じて早く映画館に行ってください。

『aftersun』は父娘の親子愛映画…という側面もあるとは思うが、それ以上に“映画の映画“だなと感じた。

この映画は父娘の休暇を記録したビデオテープの映像と、それを観ている恐らく当時の父親と同じくらいの年齢になったのであろう娘の回想と想像(共感?)で構成されている…のだと思う。父親からの視点は基本的に無く、彼が結局何に苦しんでいたのか、あの後どんな人生を歩んだのか、説明があるわけではない。私たちも想像する事しか出来ない。

でも娘はビデオテープの映像からそんな父親の姿を見つけ出せる。彼と同じ年齢(立場もそうかも?)になる事によって分かる事も多かったのだろう。合間合間に挟まるクラブのシーンはきっとそういう事なのだと思う。

まさに記憶のように点滅する光の中で踊っている彼。でも彼は苦しんでいた。苦しみながら踊っていた。暗い夜の海に溺れるように。

彼に近付く事で娘はそれに気付いた。彼女はついに彼の苦しみを見つけた。

とは言え、実際問題もう多分父親には会えないんだろうし、今から当時の彼を助けられるわけでもない。それに、究極的には父娘であろうと本当はどうだったのかとか、真に理解出来るわけでも無いのだと思う。

でもこの映画は、それでも抱きしめる。記憶から見つけ出した彼の孤独を精一杯抱きしめる。なんて映画的な映画なんだと思った。

劇中で流れる『Under Pressure』の歌詞との親和性も相まって僕は大いに感動し、涙が溢れた。とても優しい映画だなと思った。

これらはあくまで僕個人が感じ取った事である。直接的に説明されるわけでは全然ないので。各々が各々の感想を持てば良いと思う。

でも僕はこう感じる事で物凄く救われるものがあったな…。本当に良い映画だった……。

なんかフワフワとした事を書いてしまったな…、よく分からんかもしれん。でもとにかく僕は感動したのだという事を伝えたかった。

空港で去り行く娘を撮り終えた後の彼の後ろ姿を思い出すと涙が出てくる。

何故だか、僕の人生から去っていった人たちの事も考えてしまった。

パンフレットの装丁も美しいです。

This is our last dance
This is our last dance
This is ourselves under pressure

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