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2023/2/11 こわれゆく女

今日はU-NEXTでジョン・カサヴェテスの『こわれゆく女』という映画を観た。とても良い映画だったのでオススメです。

劇中で精神を病んだ母親に対して子供たちが「どうしたの? 分かんないけど愛してる」と告げるシーンがある。とても心を打つセリフだった。なんならちょっと泣いちゃったな。

「他人を他人であると認める」というのは僕の映画を観る上で大事にしている考え方である。どれだけ仲の良い友達や恋人、血の繋がっている親族だって、本当のところでは絶対分かり合えない他人なのだ。それは決して悪い意味で言っているわけではなく、ただ“そう“なのだと思っている。だから分からないからと言って突き放す必要はなく、むしろ分からないからこそ寄り添えるのだと信じている。

だから僕は映画(に限らずだが)の“他人を他人だと認めた瞬間から開ける新しい世界“を見るのが好きなのだ。その瞬間にとてもとても感動する。そういえば今上映中の『イニシェリン島の精霊』もそういう話だった気がするな。これもめちゃくちゃ面白い映画なのでオススメです。

あー…、なんか数日前にも似たような事を書いた気がするな。でも何度だって書きたい事ではあるので気にしない。君たちも気にするな。

そういえば、この映画の邦題は『こわれゆく』と書かれているけど、“壊れてる“とは感じなかったな。ただそういう人が在るなと思った。言っちゃえば妻だけではなく夫も義母も周りの人間皆どこかおかしく、皆不器用だった。そういう人たちが罵り合ったり愛し合ったりしている。そうやってやっていくしかないのだと思う。

「分かんないけど愛してる」
大事にしていきたい言葉だ。

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