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ちの月記 -運命的な巡り合わせ(2024/04)-

東京から長野県・茅野市に移住した、そんな一人の月記です。まいにちではないので、月記。身近な出来事やその中で感じたことを書いています。職業はお花屋さん。



長野に引っ越してきたのは2024年4月半ば。そこから5月が終わるまでの約1ヶ月半で、早くもいろいろな変化が起きている。変化というよりも、いろいろな分岐があった、が適切かもしれない。進行中のものもあるけれど、とりあえず今日はそのうちの1つについて書いてみる。


運命だったのか、引き寄せたのか

ところで、いきなり脱線してしまうのだけど、「運命的だ」という感覚はどれくらいの人が持っているんだろう?目には見えない、精神的な概念。中には「最初からこうなることが決まってたみたいだ」と感じたことがある人も、いるかもしれない。

それで言うと自分は、「運命的だなぁ」は多くないけど「縁だなぁ」と感じることは多い。むしろなんでもかんでも縁だと感じる、縁人間です。きっと、いろいろな出来事を多角的に見ようとして、それを繋げたがる、この性格のせいだと思う。


書きたい分岐の1つは、そんな自分が「運命的だ」と感じた出来事。


忘れ物からはじまっていた

結論から先に書くと1つ目の大きな分岐は、花の国家資格を受験する流れになったこと。花の装飾技術に関するもので、「フラワー装飾技能士」という。民間の資格は他にもあるけれど、国家資格は現在この1つだけ。1級〜3級のうち、これの2級を受験する。

前提として、資格の存在は知っていて、どんな感じだろうと買ったテキストが家にある。でも資格を持っているからなんだよ、とスルーしてきた。最近は、資格を取る目的ではなく、その過程で花づくりの基礎を学び直すという意味で、受験するのもありかなぁと思っていた。




東京を離れ、長野に入居したのは土曜日。週末で必要最低限のものを買い、翌月曜日にはさっそく、働かせてもらう予定の花屋に出社する。午後は役所に行くため、職場へのあいさつと上長とのランチだけの予定だった。

車がないため、はじめは電車通勤になる。購入を進めるには、転入手続きをして住所が変わった住民票を送る必要があった。最寄の無人駅を通る電車は、1時間に1本あるかないか。



迎えた月曜日。なんだかんだバタバタと家を出る。あいさつを済ませ、ランチまでを終えたところで、マイナンバーカードを家に忘れていることに気づく。これがないと転入手続きができない。

すでに時間は13時。家に取りに帰っても電車がないので、15時までに戻ってくることは難しそうだ。かんぜんにやらかした……。

そこに、上長の一人である事業長が声をかけてくれた。職場で「先生」と呼ばれていた方だ。


時間あるし、家まで車で送るよ!そのまま役所で降ろせばいいよね?


……恐縮すぎる。いきなり、事業長の時間を新入りバイトの忘れ物を取りにいくことに使わせるのは、気が進まない。

とはいえ明日からは業務開始で役所にいく時間がない。手続きをしないと車も納車できない。そんな訳で、大変恐縮しながら、家まで車を走らせてもらうことにした。内心、「初っ端からやらかしてる…」と涙目だった。



そうして乗せてもらった車内での時間は、思いがけず、気軽な雑談の時間になった。ランチのときは少し固かった会話もより親しみやすくなり、お互いの経歴やその背景をざっくばらんに話す。

事業長の名刺に「フラワー装飾技能士 1級」と書かれていたのを思い出し、自分も試験は気になっていて、テキストは買ったんですよね、と言ってみた。


あら、そしたら受けてみる?
ちょうど、今年の申込締め切りが明日の消印までだから、間に合うよ。
ちょうど、受験票も多めに取り寄せてあったし。


長野での試験は年に1回しかなく、次回は来年になるそう。そんな「ちょうど」よく、目の前に試験を受ける流れが現れるとは、思ってもいなかった。

しかもその上長がいるおかげで、事前講習は一般より安く受けられる。花材も仕入れ値で準備させてもらえるし、なにより上長が直接試験のアドバイスをしてくれると言う。

「縁があるな」と感じた縁人間は、受けてみますと答える。役所で降ろしてもらい、手続きを終えて再び事務所に戻り、受験票を受け取った。




夕方。1時間後の電車をホームで待ちながら、受験票を眺めている。そこに、友人から連絡がきた。



花をお願いしたいんだけど。

いいよーどんな感じの?

赤バラ108本。



……たまげた。どんなタイミングだよ、と思った。

今までに個人で受けたことのない、最大級のオーダー。長野に来たばかりで仕入れられるのかもわからず、思わず即答は避けた。けどその後の友人からの言葉で、やってやる!という気持ちになり、引き受けた。



新しい土地にきて三日目。顔出しだけの予定のはずだった。

大きく動きはじめた流れに、背中を押されているように感じる。まるでなにかが「花の道をいけ!」と言っているみたい。



これは、運命なのか、引き寄せたのか。

どちらでもいいんだけどね。事実としてあるのは、出会った人が機会をくれて、決めたのは自分だ。


これからも、なるように、なっていく。





メモ : ぶれない

花を育てることもやるし、花も植物の一要素として見る。土から、種から、はじめていく。知らない事だらけだから、学んでいく。地球の中での立ち位置はどれも同じで、そういう目線で向き合っていく。

それでも、あくまで人に届ける花をつくる「お花屋さん」である。その人が求めるイメージを、花でつくる。そのために必要な技術も変わらず磨いていく。その中で、自分がこだわりたい部分を制約として課していく。

人にも、自然にも、自分にも、向き合っていく。

ここまで読んでくださりありがとうございます!ただの日記ですが、温かい目で見守っていてください〜〜