泣く君をおいて私はエキスポに行く【アイマスと子と私】
朝6時。泣く我が子を置いて、幕張メッセへと向かう。
2024年12月14日。幕張メッセではアイマスエキスポDAY1が開催された。
私はサークル参加で申し込んだ。厳密に言うと、私と同居人が申し込んだ(サークル参加費や頒布シール代は生活費から出した。アイマスは生活に必要なので……)。でも我が家にはまだ上手く歩けないくらいの幼児ちゃん(本当にかわいい)がいる。子を幕張メッセまで連れていき、親が交代でアイマスエキスポに出ることも考えたが、さすがに幕張メッセは遠すぎるので諦めた。サークル参加を経験している私1人が参加することになった。子は同居人(親②)に見てもらう。
このnoteは、そんな私(他ブランドも触っているがメインはシャニマスのおたく、同人活動もしている、昨年出産、社会人の擬態もしている)のアイマスエキスポの記録だ。アイマスエキスポ、素敵な空間だったね。
アイマスエキスポに行く前の話がけっこうあるので、アイマスエキスポ中の話を読みたい人は「”アイ“を集めて」から読んでね。
アイマスエキスポに至るまで
ずっと、「noteで書いた、シャニマスと私(妊娠、つわり、育児、オタク活動……)の文をどこかで本にしたい」という思いをもっていた。そんな中、アイマスエキスポの開催を知った。アイマスエキスポのサークル参加を決めたのは、実現するならここしかない、と脳内の私が大声で主張したからである。公式でこんなお祭りをしてくれる機会はもうないかもしれないので、同居人(文章書くのは好き)に「お前も新刊だせ」と脅し、同居人も本を出すことが決まった(故に諸々は生活費精算)。いろいろがいろいろだったが(出した本の中で触れているのでここでは割愛する)、ぜえぜえいいながら新刊を用意した。わーい、エッセイ本ができたぞ!!!!!!! ちなみに、「私の“日常”にシャニマスは必要不可欠だが……?」という理由で、全ユニットの漫画も描いた。どうしてそんな自分の首を締めることを……。
ぜえぜえとお品書きを作り、シールセットを作り、無配も作り、頒布シールも貼った(私は思いついたら止まらないのでやることを増やし過ぎている)。同居人の新刊は私のより一足早く完成している。
前日、さ~てサークル参加の集合時間は……と確認。
なんと8~9時までに幕張メッセ着だった。
え!??????!!!???!
子の授乳は???!!!?????!???!
1歳をすぎた私の子は、まだ卒乳しておらず、朝の授乳のみしている。私の都合で夜の授乳をなくしたので(いつもは5分で寝付くのに、授乳を無くしたあたりの日は1時間全力で泣きまくっていた)、朝くらい飲みたいうちは飲みな……のスタイルで今日まで来た。
子が起きるのは6時。ちなみに幕張メッセに8時につこうと思うと5時30分に家をでなくてはならない。え……っ。
アイマスエキスポは全人類初めてのイベントだったため、何がどうやら仕様がさっぱりわからない。でも仕方がなので、8時30分着を目指して行くことにした。
授乳を10分したら、もう出かけなくてはならない。授乳をして10分たったので子を離すと、子はきょとんとした顔をした。その後、どうやら授乳が終わったことを悟ったらしい。私の胸辺りの服を掴んで泣き出した。
ごめん!!!!!!! 親がおたくでごめん。ごめんね……。
親②に子を引き渡す。子は泣いていた。玄関に準備してあった新刊2種類を詰め込んだキャリーケース(子と同じかそれ以上の重さ)をひっつかみ、急いで家を出た。子は親に②に抱かれて私のお見送りに参加させられていた。「いってきます」と手をふったが、子はすん……としていた。まだ怒っている可能性がある。
無事に予定していた電車に乗れた。一安心である。京葉線の乗り換えの最短ルートを調べ、ツイッターをする。
ずーっと気分は落ち込んでいた。
泣く子どもを置いてきたから、という訳ではない。子は親②がいるから大丈夫だろう。私は親②を相当信頼している。
ではなぜ落ち込んでいたのか。
新刊の刷る冊数を間違えたからである。
いつも私は漫画本を出している。でも今回はエッセイだ。私語りの固まりである。絶対に捌ける数は少なくなる。妊娠出産育児、というテーマに興味が無いどころか、そのテーマを避けている人もいるだろう。インターネットで私の認知が格段あるわけでもない。いつもの半分も捌けないだろうな。同人誌をそこそこな数出してきた私の“冊数センサー”がそう告げた。
新刊発注時、私は疲れていた。子から移された感染性胃腸炎(たぶんノロ)3日目だった。
なんといつもの数を発注してしまった。
アホ!!!!!!
新刊が家に届いたとき、呆然とした。新刊いっぱいだ。まあ足りなくなるよりいいか……。
そんなこんなで幕張メッセに向かう車内で、私はずーんとしていた。
のだが!!!!!!
”アイ“を集めて
幕張メッセの入り口で天海春香さんに出会った。
透き通る冷たい空気がそのまま色づいたような空の下に、天海春香さんが笑顔で立っていた。
765でないブランドのものを身に着けている人も、みんな立ち止まって写真を撮っている。私も立ち止まった。
そうしてポロポロ泣いた。
今日を迎えるまで、私は何度アイマスに支えられてきただろう。私の心の大事な場所にこのコンテンツがある。家の中に閉じこもり、責任と愛情と不安と恐怖で気が狂いそうになりながら育児をしていた時間を思った。今こうして「エッセイ本つくりたいな〜」とのんびり思えるのも、アイマスが私を私のままでいさせてくれたからだ。育児中だけでない。今の私をつくっている過去の私もまた、アイマスにたくさんの景色を教えてもらい、たくさんの感情をもらった。
”アイ“が集まる、いい言葉だな。
私も”アイ“のひとつなのかな。春香さんがそう言っているんだから、きっとそうなのかもしれないな。春香さんのすごさよ。来られてよかったなあ。
春香さんの写真を撮って、どこだどこだとキョロキョロしながらサークル参加口を探す。ここから思ったことが山のようにあったので、思いついた順に箇条書きで書いていこうと思う。
・リストバンドをなくしたくないなと思って思いっきりしめたら不可逆なやつだった。私ははさみを持っていなかったため、こいつをつけたまま自宅へ帰ることとなる。
・サークル参加の人に向けてのアナウンスを中村繪里子さんがされていた。いいの!!? そんな贅沢なことがあって……。すごくすごく嬉しかった。
・(もうサークル参加費の元とれたな)と思った。元、ここでとれました。
・いつも表紙を大きめにコピーしているのだが、コピーし忘れていた。頒布物の説明の紙とかも作る暇がなくて新幹線で大急ぎで書いた。およよ……。もう一度やらせてください、エキスポを。
・でも体調不良で締め切り前3日間なにもできなかったことを考えると、「まあしゃあなし」って思ってしまう。新刊出して参加しているだけでもう100点じゃんね。
・気が付いたら9時半になっていた。なんと新刊を買いに来てくださった方がいた!!!
・この時、「持ってきた新刊ほとんどを持ち帰るんじゃないか」、「誰も来ないかもしれない」、と本気で思っていた。「新刊ください」と言われたとき、びっくりして、嬉しくて、「あ、あの、……はい……!」って挙動不審になってしまった。
・「楽しみにしてました」って言葉をいただいた。
・え……っ?
・う、う、嬉しい……。
・漫画本を出すときにも感想や応援の言葉をいただくことがあって、私は本当にうれしくてうれしくて、何回も脳内で反芻してニコニコしているのだが、今回はなんかもう「嬉しい」の種類が違った。
・漫画本は「表現」だ。でも「エッセイ」は、私にとって「表現」ではなく「私自身」である。私自身を肯定してもらった嬉しさ、というのかな。安心、が近いのかもしれない。
・あ、ありがとう……。
・同人即売会で本を出した回数はそこそこある方だと思うけれど、今回は初めての感情をもった。
・その後次々に人がきてくれた。いつものイベントは最初にドワーッと人が来るけれど、エキスポはずっと人が来てくれた。嬉しかったな……。
・一人参戦のため売り子がおらず(頼むべきだった!!!!!!)、上記のようにずっと人が来てくれていたため(ありがたすぎる)、売り場を離れたころにはみんなの同人誌のほとんどが売り切れていた。
・あーん!!! 同人即売会に参加したのに戦利品がこんなに少ないの初めてだよ!!!!! 完売おめでとう。通販で手に入れます。
・サークルスペースにいる間、たくさんの方とお話した。
・「私も子どもがいて〜、」という方がけっこう話しかけてくださった。仲間だー!!!!
・「今日は夫or妻or託児所に子を任せてきました」「うちも夫婦でプロデューサーやっていて、こういうときは土日で交代しています」「こういう本(アイマスと育児の本)ってなかなか見たことなくて、楽しみにしていました」
・私は私のことしかしらない。私の知らないところで、いろんな人が、アイマスを好きな自分と親の自分を両立させているんだなあ、と温かい気持ちになった。
・同時に、アイマスを好きな自分と親の自分、両方を大事にしてもらえた気がした。
・話してくださった方、ありがとうございます。とっても嬉しかったし、楽しかったし、力になりました。共に戦いましょうね。
・子育てしているプロデューサーと友だちになりたい。アイマスエキスポから始める友だち、どうですか?
・同居人の本がけっこう捌けていく。同居人の本は「アイドル論とシャニマス」だ。社会学のアイドル論でよく引用されている本を片っ端から読んでいる姿を見ていたので、(欲しい人みんなに手にとってほしいな……)と思っていた。内容ももちろん面白いのだが、大真面目に論説本をしているのも、そしてたまにただのシャニマスオタクの顔を覗かせるのも面白かった。
・部数を決めるとき、「倍刷れ!!!!!」と言ったのだが、同居人は10部だけ増やして刷った。
・私はイベント内で売れ切れを避けるべく山のように刷るほうだ。しかも今回は部数をミスって大量に本がある。同居人の本の数×3倍ある。
・その私の本とほぼ同じペースで捌けていく。おい……。
・お昼頃になくなってしまった。
・おい!!!!!!!!!
・あまりにも「アイドル論の本無くなっちゃいましたか?」と聞かれるので、見本誌に売れ切れと3つ書いた。
・欲しいと言ってくださった方々、ありがとうございます。帰ってから同居人を説得し、再販させました。よかった。
・同居人「知は流通させるべきなので」
私(最初から倍刷れって言ったじゃん)「最初から倍刷れって言ったじゃん」
・「半分も捌けないだろう」と思われた私の本も、気付けばあと少しになっていた。
・びっくりだ。部数をミスったと落ち込んでいたが、ミスった結果超丁度よかったみたいだ。通販分くらい残った。最初頼もうとしていた部数だと、12時前には売れ切れていたのか……。事故ではあったが、倍頼んでおいてよかった。
・アイマスエキスポという場がそうしてくれたのだろう。私の本はちょっと特殊だったので、シャニマス以外のブランドのグッツを身に着けている方々もたくさん手にとってくれた。
・通りかかって立ち止まってくださった方もたくさんいた。偶然の出会いだったのかな。
・公式のイベントで、こういう本が出せて本当に良かった。
・シャニマスの展示をみた。
・シャニアニの展示をみてニコニコし、角を曲がると
・enzaシャニマスの展示が待っていた。
・一面の文字。
・うれし〜〜〜〜〜〜!!!!!
・やはりenzaの売りはアイドルの重ねてきた時間(コミュ)だよ。うんうん。分かる分かる。私は何様だ?
・アイドルの言葉の数々に触れて、泣いてしまった。アイドルの人生に私は触れている。
・壁にコミュのセリフがちっちぇえ文字で書かれてある。とりあげているコミュがもう嬉しい。不特定多数に見せびらかすならこのコミュだよね!!!!
・私の人生とアイドルの人生が交差している不思議。シャニマスに出会えてよかったな……。
・Café Takayamaも見た。いつも画面の向こうで何回もみている人が喋っていて、一周まわっていつもと同じ感じがした。
・アーカイブもあるから詳しくはいえないが、特に高山さんのコミュの監修の話を聞き、高山さんへの感謝の念がすごいことになった。
・高山さん……好きです。
・私はシャニマスの「え??!!?」ってところも含めて好きです。私たちのことは放っておいて、思いついたことを思いついたようにやってほしい(ただしアイドルの尊厳を守っている場合に限る)(これは個人の意見です)。
・通りかかる人、みんなニコニコしていた。いい空間だなあ。
・ここにいる人みんなアイマスが好きという嬉しさ。
・私もアイマス大好きだよ。
・「ここにいない」ことを知っていながら、「ここにいる」と信じて、愛して、生きている人々がいた。やっぱりアイマスって宗教なのかも。
・シャニマスのライブ配信も見た。
・アイドルがいた。
・え……かわい〜〜っ!!!!!!!
・かわいすぎ〜〜〜
・アイドルたちが「ここにいる」ためにたくさんの方々の協力があったんだろう。観客の人々も含めてそうだ。なんて美しいんだ。
・やっぱりアイマスって宗教なのかも。
・子の寝かしつけもあるので、高山さんの話が終わったところで撤収した。
・行けてよかったな。
・アイマスエキスポ、とても素敵な空間だった。嘘みたいな空間だった。
・また開催してくれるといいなあ。みんな、アンケートは書いたか? 開催をお願いしよう。
東京駅で崎陽軒のチャーハン弁当を2つ買う。これは同居人への詫びだ。詫び弁当と、軽くなった荷物を持って家に帰った。
ドアを開けると、「あきゃきゃ!!!!」と、子が爆速ハイハイで迎えてくれた。「ききゃ!!」「うんば!!」「あぅーーあっ!!」等たくさん喋っている。眠たいときのテンションだ。もう19時だもんね。家を出てから13時間たっていた。そんなにたったの? あっという間でびっくりする。
足に子がまとわりついている。腕を伸ばしたポーズをしているので、抱っこしろの要求だろう。手を洗って顔も洗って服も着替えて(感染防止ってやつです)、ようやく子を抱っこできた。重たい。
絵本の棚の前に子を下ろすと、子は絵本をとり、「うだ!!!」と掲げた。読めという意思を感じる。絵本を受け取ると、座っている私に子がダイブしてきた。なぜか絵本を読むとき、親の足を椅子にし、親の胴体を背もたれにするようにして読まないと気がすまないらしい。絵本を読む。次々にページがめくられていく。
「親の私」に帰ってきた。でも私は、「おたくの私」でもある。アイマスエキスポに行って過ごしてきた時間は、きっと親の私にとっても素敵な影響を与えるだろう。親の気分や心持ちが前向きなことって、子にとっても大事なことだと思うし。
親の私が、おたくの私の視点を広げてくれた。
おたくの私も、親の私の視点を広げてくれるだろう。
絵本を2冊読んでから寝かしつけられた子は、寝室で泣いていた。「お前(私のことである)とまだ遊んでないんだけど」の抗議だろう。
今日留守にしてごめんね。君が頑張ってくれたおかげで、楽しい時間が過ごせたよ。
同居人(親②)はげっそりしていた。子の生活と遊びに1日ひとりで付き合えばそんな顔にもなるだろう。同居人もありがとう。お前の新刊、再販しなさい。
扱った新刊の通販があるぞー!!!!!
BOOTHに新刊(私:漫画・エッセイ本 同居人:論説本)の通販があります!!!!!!!!
同居人の本は手にとってくださると私も嬉しいです。同居人に2冊目を出させよう!!!!!!!!!
私の本もあります。私の本はこのnoteのテンションのエッセイとシャニマスの漫画が入っています! 読んでくださると私がニコニコ照れ照れします。
↑のところでサンプルも読めます。よろしくね~!!!!!