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Road to ていねいな暮らし

ていねいな暮らしに憧れる。
インスタが登場し、人々の暮らしが見えるようになってからはますますていねいな暮らしへの憧れが募る。

しかし現在の実力といえば、やっと水出しの麦茶を補充できるようになった程度。
以前ネットで「夫にいらつく瞬間」というテーマの投稿で「麦茶があと少しでなくなるというとき、夫はわざと2センチくらい残す。飲み干してしまうと作らなくてはいけないからでしょう!最悪です!」というものがあった。

私は夫に同情してしまった。私も悪いなと思いつつ麦茶を2センチ残してしまうタイプだからだ。悪いのはこちら側だとわかっているけど、同じ種族としてどうしても同情してしまう。
この妻の怒りを見てから、わたしは水出し麦茶を補充するようになった。

身分不相応ながらていねいな暮らしに憧れていたが、この本を読んでからていねいな暮らしは目指すものではなく結果なのだと思うようになった。

たまたまタイトルに惹かれて手に取った本。
想像以上に良い本で、いい影響を受けることになった。

たとえばビニール傘はたしかに便利で、ワンコインでどこででも買える。捨てることさえ手軽だ。
でもその便利さ、手軽さを享受する裏で、空を見て天気を予想したり、ものを大切にしたりする気持ちを無意識のうちに失っていることをこの本は思い出させてくれる。

ていねいな暮らしを考えると、ついステップを飛ばして「朝は豆を挽いてコーヒーを淹れる」とか「毎日花を生ける」とかレベル50くらいのミッションに挑んでしまい、「やっぱわたしには無理だ…」となって、束の間のていねいな暮らしがおわる。

この本はそんなだめなわたしを受け止め、手間暇をかけて無理しても続かないから、あくまで楽しんでやろう、と励ましてくれる。

店先に並んでいるものの中で私たちは選択をしすぎているだけだ。暮らしの選択肢の中に、「自分で作る」を入れてみたら、毎日はもっと楽しくなるに違いない。

ていねいな暮らしは、目的ではなくて結果だ。

無理に目指す必要はなくて、自分が「こっちを選んだ方が心地よい」と思えたときにやるくらいでいいのだ。生活ってそういうもの。

プラスチックは買ったその日が一番美しく、そこから劣化していく。木は歳月とともに味わいを増す。

ポーズとしてのエコとかエシカルではなくて、単純に自分にとって心地いいか?というシンプルな視点で選択する。
いまはまだプラスチックに全力で頼っているけれど、木の香りや味わいをたのしめるようになったらすこしずつ木に変えていこう。
そんなたのしみが将来にあるんだし、いまは見栄を張らずに麦茶で経験値を貯めておこう。

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