さらぬわかれ 50

 さくらの言う「血だまりの中に…」という言葉に、栄子は違和感を抱いた。

「ねぇ、さくら。あなたはその人と一緒に心中したんでしょう?
『生き残った』ってどういうことなの?」
 栄子はさくらに掴みかかろうとしたが、実体のない体をすり抜け、泥濘に足を取られ再び転倒してしまった。
 さくらは栄子を立ち上がらせようと手を差し出しかけて、引っ込めた。

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