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夢見るそれいゆ 244

「…あの、國吉先輩のお父さん。」
私は黒文字を置いて、先輩のお父さんに話し掛けた。

「『國光』で良いですよ、ひなたさん。
まあ…『お義父とう様』でも良いですが…。」
「では、國光さん。先輩に対してあえて厳しい態度をとっているのは、もしかして『よしのさん』の話題を出したいからではないですか?」
私が切り出すと、國光さんは目を丸くした。

「…ひなたさん、それは姪から聞いたんですか?」
「いえ、さっき國光さんと先輩が話しているのを聞いていて、自分がそう思いました。」

國光さんは顎に手を当てて、「そうですか。」と呟いた。

「…自分で意識していた訳ではないですが、そうかもしれないですね。
國吉に厳しくした後は、大体は妻の名前を出しますから…」
そう言うと、國光さんは目を瞑った。何か思いを巡らしているようだった。

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