さらぬわかれ 108

栄子が病室に入ると、横たわる桂のそばで両親が泣いていた。

「お父さん、お母さん…」
姉は助からなかったのではないかという不安が、栄子を襲った。

「栄子、何処に行ってたの!桂…桂が!」
栄子の母が、桂を見るよう促した。

「桂…お姉ちゃん?」
恐る恐る、栄子は姉の名前を呼んだ。

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