さらぬわかれ 16

栄子が異変に気付いたのは、桜の木に近付いた時だった。

「あれ…?夜なのに木がはっきり見える。」
丘の下の方には歩道があって、そこには電灯がともっているのだが、桜の近くには祟りを怖れて人が近付かないゆえに灯りなどはない。
天気は良いが、月もない。

どうやら、桜の木自体がほの暗い光を放っているようだった。

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