さらぬわかれ 77

波留日は和室に救急箱を持ってきて、恒孝の左手の怪我を手当てした。

「波留日、ありがとう。」
恒孝は今までの心のこもっていない笑顔とはうって変わって、穏やかな笑みを浮かべている。
「出血量の割には、傷が浅くて良かったわ。」
波留日は救急箱の蓋を閉めた。

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