さらぬわかれ 66

「あの人は、この村に伝わる『祟り』に振り回されるのに嫌気がさして出ていったの。」
波留日は寂しそうな顔で、ポツリとつぶやいた。
「…恒太のお父さんも、先ほどそう言っていました。でも、本当に『それだけ』なんですか?」
栄子は前のめりな気持ちになった。
何も妻子を置いて家を出ることはないはずだ。

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