夢見るそれいゆ 230
「…ひなたさん?」
「先輩が私の幸せが何なのかを勝手に決めないで下さいっ!!
私の幸せは私のものです!
そして先輩は私の幸せに必要不可欠なんですっ!!」
支離滅裂だと自分でも思う。
だけど形振り構っていたら、先輩は私だけでなく全てを諦めてしまうに違いなかった。
私は肩に寄りかかっていた先輩を、そのまま抱き締めた。
「わっ!」
今まで片足で立っていた先輩がバランスを崩し、私の方に重心がかかった。
アツいと感じるのは直射日光のせいなのか、それとも先輩の体温のせいなのか…。
「先輩のことを良く知らない時は、どこか浮世離れしていて近寄りがたいと思っていました。
だけど等身大の先輩を知っていくうちに、私は自分でも知らない感情を抱いていました。
この感情は、先輩だけになんです。泣きたくなるような…ぎゅうと締め付けられる想い…。」
早鐘の如く打つ鼓動。
それは私だけのものではなかった。
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