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【ショートショート】助手席のメガネ #爪毛の挑戦状
爪毛さんの挑戦状、また拾ってきました。
私は今ひどく困っている。
職場の男性の運転で紅葉を見に山へドライブしていたのだけれど、助手席のメガネに気づかずに座ってしまったのだ。
レンズは割れなかったけど、ツルが折れてしまった。
私は今日、免許証を所持していない。
「ゴメンなさい。」
「いや、君のせいじゃない。俺がズボラで助手席に投げ置いたのが悪いんだから。」
確かにこの人の職場のデスクはカオスである。
私は修復に使えそうなものがないかと、鞄をあさった。
財布、ハンカチ、メイクポーチ、etc.
あっ、これ良さそうとメガネのツルに巻き付けたのは…。
「何だか痛々しいね。」
絆創膏付きのメガネをかけ、男性は言った。
気まずいまま、山を無言でぐるぐる下っていく。
道の駅で休憩中、
「──あのさ、こんなズボラな男だけどさ、付き合ってくれないか?」
と告白された。
「不注意でメガネを壊すような女だけど良いの?」
私達は「お互いさまだね」と笑いあった。
裏テーマは、「小物で登場人物の性格を表す」です。
「ありきたり」を逆に強く打ち出してみました。
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