夢見るそれいゆ 256
週が明け、國吉先輩は高等部に登校してきた。その話題は、中等部にまで聞こえてきた。
ちなっちゃんの事件のことで、私と國吉先輩の関係を噂されていたので、周囲の反応に警戒していた私だったけど、意外にも女子から先輩のことで追及されることはなかった。ただ、男子の視線が今までと違うように感じた。
「ひな、それは『ついに、ひなが國吉のものになってしまった』という、男子の落胆だよ」
昼休みに私に会いに来てくれた更紗先輩が、ニヤッとした。
「更紗先輩、何で私が國吉先輩のものになると、男子が落ち込むんですか」
「ひなは密かに男子に人気があるの、自覚ないんだった。」
「更紗先輩、前にも言ってたけど、そんなことはないですよ」
私は華やかな手芸部の部員の中で、1番目立たない。男の人から告白されたのは、國吉先輩ただ1人だ。
「……ひなのファンはシャイだから。まあ、ひなはひならしくいれば良いよ!」
更紗先輩が私の肩に手を置いた。
「ひな、今日は國吉、放課後部活に行くみたいだから、会いに行ったら?」
私は更紗先輩の提案に心が跳ねた。
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