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さらぬわかれ

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村の1本の咲かない桜の木。 その木には、曰くがあり…。 8歳のまま成長を止め意識のない姉とその妹の話。 GREEのコミュニティで発表していた小説(2009/1/17~)の完全… もっと読む
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2022年1月の記事一覧

さらぬわかれ 61

恒太のお祖父さんが伝えたかったことは、桜の木の祟りに関連することに違いない。

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さらぬわかれ 62

「じいちゃんと父さんは、俺が生まれる前から反りが合わなかったらしいんだ。
俺の覚えている一番古い記憶は、じいちゃんと口論して父さんが家を出ていったことだ。」
恒太の祖父は激しい気性である。
栄子は容易にその場面を想像することが出来た。

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さらぬわかれ 63

「…とりあえず、じいちゃんが俺に伝えるつもりだった話を母さんが知っているかどうか聞いてみよう。」
恒太はやはり父・恒孝に尋ねるのは出来るだけ避けたいようだ。

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さらぬわかれ 64

不安げな様子の恒太に、栄子は自分を掴んでいる手に優しく触れて、
「うん、もう黙っていなくならないよ。」
と言った。
「良かった。」
恒太は安堵の表情を浮かべた。

(恒太は私のこと心配なんだ。もっとしっかりしなくちゃ!)

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