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さくらゆき
2021年11月3日 09:26
「──『山村』様。コウノシン様の名字は山村様っていうの。」 さくらが口にした答えに、栄子の胸がざわついた。特に珍しい名字ではない。しかし恒太の名字も「山村」なのだ。
2021年11月10日 17:06
この夜、栄子は桂のベッドの隣に布団を敷いて眠ることにした。 電気を消すと、姉の規則正しい呼吸が闇のなか聞こえてくる。 布団に入ってから、栄子は桂に話し掛けた。「ねぇ、お姉ちゃん。私を独りにしないでね。」 彼女の魂はさくらなので、ここには居ないことは分かっている。 でも、今夜の栄子の心は淋しさで満ちていた。
2021年11月17日 16:30
「はぁ、はぁ…っ!」栄子は夜明け前に、恐ろしさで目を覚ました。夢に出てきた血のついた日本刀、あれは恒太の家にあったものだ。(やはり、恒太とコウノシン様は何か関係があるのだろうか?)
2021年11月24日 17:27
今日は、恒太と挨拶しただけでほとんど話すことなく放課後になった。 周りは栄子と恒太が喧嘩したのかと噂していたが、栄子はそれどころではなかった。 栄子は鞄に教科書を詰め込んで、村唯一の図書館に向かった。