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さらぬわかれ

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村の1本の咲かない桜の木。 その木には、曰くがあり…。 8歳のまま成長を止め意識のない姉とその妹の話。 GREEのコミュニティで発表していた小説(2009/1/17~)の完全… もっと読む
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2021年11月の記事一覧

さらぬわかれ 52

「──『山村』様。コウノシン様の名字は山村様っていうの。」
さくらが口にした答えに、栄子の胸がざわついた。特に珍しい名字ではない。しかし恒太の名字も「山村」なのだ。

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さらぬわかれ 53

この夜、栄子は桂のベッドの隣に布団を敷いて眠ることにした。
電気を消すと、姉の規則正しい呼吸が闇のなか聞こえてくる。

布団に入ってから、栄子は桂に話し掛けた。
「ねぇ、お姉ちゃん。私を独りにしないでね。」
彼女の魂はさくらなので、ここには居ないことは分かっている。
でも、今夜の栄子の心は淋しさで満ちていた。

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さらぬわかれ 54

「はぁ、はぁ…っ!」
栄子は夜明け前に、恐ろしさで目を覚ました。
夢に出てきた血のついた日本刀、あれは恒太の家にあったものだ。
(やはり、恒太とコウノシン様は何か関係があるのだろうか?)

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さらぬわかれ 55

今日は、恒太と挨拶しただけでほとんど話すことなく放課後になった。
周りは栄子と恒太が喧嘩したのかと噂していたが、栄子はそれどころではなかった。
栄子は鞄に教科書を詰め込んで、村唯一の図書館に向かった。

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