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さらぬわかれ

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村の1本の咲かない桜の木。 その木には、曰くがあり…。 8歳のまま成長を止め意識のない姉とその妹の話。 GREEのコミュニティで発表していた小説(2009/1/17~)の完全…
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2021年4月の記事一覧

さらぬわかれ 22

玄関の鍵を開けると、そこはいつも通りの闇が立ち込めていた。
しかし、いつもと違って肉じゃがの匂いがかすかに残っていた。
「今日の夕飯は、恒太と食べたんだっけ…。」
今日はいろんなことがあって、同じ日に起こったこととは思えなかった。

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さらぬわかれ 23

夢を見た。

あの木だ。

さくらが泣いてる。

近くに寄りたいのに、近づけない…

さくらがいる先には、誰かがいる。

誰?

よく見えない。

近くにいるのなら、彼女を助けてあげて。

涙を拭いてあげて!

見えているのなら…

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さらぬわかれ 24

(変な夢だったな。)
栄子は洗面所で歯を磨きながら考えた。

(私が助けたいのは、お姉ちゃんであって『さくら』ではないでしょ?)
口にコップの水を含んだまま、数秒止まった。

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さらぬわかれ 25

教室に入り恒太をさがしたけれど、姿が見当たらなかった。

恒太の隣の席の女子がいたので、聞いてみた。
「おはよう、鈴原さん。恒太は学校に来てる?」
「池上さん、おはよう。山村君は今日、具合が悪くてお休みだって。」

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