シェア
さくらゆき
2021年4月7日 08:33
玄関の鍵を開けると、そこはいつも通りの闇が立ち込めていた。 しかし、いつもと違って肉じゃがの匂いがかすかに残っていた。「今日の夕飯は、恒太と食べたんだっけ…。」 今日はいろんなことがあって、同じ日に起こったこととは思えなかった。
2021年4月14日 12:29
夢を見た。あの木だ。さくらが泣いてる。近くに寄りたいのに、近づけない…さくらがいる先には、誰かがいる。誰?よく見えない。近くにいるのなら、彼女を助けてあげて。涙を拭いてあげて!見えているのなら…
2021年4月21日 17:22
(変な夢だったな。) 栄子は洗面所で歯を磨きながら考えた。(私が助けたいのは、お姉ちゃんであって『さくら』ではないでしょ?) 口にコップの水を含んだまま、数秒止まった。
2021年4月28日 08:56
教室に入り恒太をさがしたけれど、姿が見当たらなかった。 恒太の隣の席の女子がいたので、聞いてみた。「おはよう、鈴原さん。恒太は学校に来てる?」「池上さん、おはよう。山村君は今日、具合が悪くてお休みだって。」