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029.スプーン1杯の認知症

私の誕生日の昼に電話があった。

「あんた、誕生日やろ、ご飯食べに行くかね?お好み焼き食べる?」

先週の日曜日に食べに行ったことは忘れているようだったので「この前食べたね~」思い出した風に言うと、「そうやね~そういえば食べたね~」と返事があった。本当に覚えているかどうかよりも、忘れていても大したことはない。という感情があれば他は、どうでもいいかなと思う。

夜食べに行こうと言って電話を切ったが、すぐに、明日の朝に変更の電話があった。

時間とかは、明日の朝に連絡することになっていた。翌朝、電話したが、電話に出ないので、私は 午後から友達と昼間からワインを飲むことにした。

11時半に母から電話があった。

「もう出れるけど、○○にする?どこで待ち合わす?」とすっかり行くことになっているうえに、準備して出かけるとの電話だった。連絡なかったから、ほかの人と約束したなど言えないので、とりあえず、急いで出かけることに・・・ファミレスで食べた。

相変わらず。メニューを決めるときは苦手で、決めた瞬間に変わる。で、何を食べるのか本人が分からなくなる。要領は得ているので、これだろうなと思うものを注文する。おなかが減っていると、たくさん食べると言うが、まったくいつもと変わらず、メインディッシュの半分くらいしか食べない。満足した顔をしたら「今日はたくさん食べたね」という。調子悪いと言った日は、普段と変わらなくても「今日は少し少ないね」と声をかける。騙しているとか、いい加減とかではなくて、そんなこと人生の中で大した意味を持たないと思うから・・・母の相手をすると勉強になる。

これは、人生にとって重要かどうか。

たいていのことは、重要ではない。

母と食事をすると、私の顔を見ながら「ばあちゃんにソックリ!」とケラケラ笑う。将来、私を祖母と間違える日が来るのかもしれない。心の準備はしなくてはいけない。

大したことではない毎日。大したことも特にない。それでいいんだろうな。

何も起こらない毎日の幸せを最近は、ありがたいと思い始めた。

誕生日は、うれしい から、 うれしくないへ、そして今は、有難いと

変わっていった。

来年、年を取れると有難い。