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ねこぢるの想い出

※2018/04/01の記事のリメイクです。ヘッダーは、ねこぢる大全上より。

※※カワイイ絵柄だけど残虐な描写のある、万人受けしない漫画についての記事です。
※※※漫画のレビューというよりねこぢる本人やその周囲についての感想のようなもの。




前フリ、活字中毒と小中学校の頃の遊び

今はだいぶ落ち着いているけど、私は昔から活字中毒というか、文字が満足に読めなかった頃から絵本を眺め、デパートに行けば本屋コーナーへ直行するような子どもでした。兎に角本が大好きで、漫画も随分読みました。

小中学生の頃は友達もみんな漫画やゲーム好きで、とりあえず友達の家に行けばゲームや漫画が読める。
だから余計に活字中毒を深めていったのです。

他にもトランプとかウノとか、テーブルゲームも随分やったし、公園へ行ったり、罰ゲームを掛けて勝負したり、お店へ行くとなれば古本屋とかフードコートとかそんなんばっかだった。お小遣いが少なかったものあり公園や友達の家でばかり遊んでた。

小中学生の頃が一番古本屋に通ってブームとは無縁の、昔の安い漫画や小説を買っていた気がする。
当時自分の周り皆そんな感じで、高い交通費をかけてどこかへ行こうとか、そんな考えは高校生までなかった。

古本屋で安く変えるものの中に、当然新しかったり名のあるものはない。
古本の最安値にトレンド本なんて取り入れるはずもなく。

月々祖父が買ってくれたりぼん(と姉の買っていたちゃお)があったから少女漫画のトレンドもある程度把握していたけど、とりあえず古本屋に行くことでひと昔前のものやマイナー目なものに縁ができたのでした(当時はマイナーとか古いとか思ってもなかったけども)。

で、その中のちょっと昔の、マイナー系なものの一つがねこぢるでした。


正直、人にオススメできない…けど


ねこぢるは、所謂「ガロ」という漫画雑誌の漫画家でした。
ガロは漫画家が無償で原稿を描き、載せてもらうもので、内容もかなりアングラでサイケなのが多かった。
エログロナンセンスみたいな…今でいうと古屋兎丸とかそういう感じかも。


ぶっちゃけねこぢるの描いた漫画、人にはオススメできないです。比較的マイルドなインド旅行記とかは昔先生や友達に貸して「面白いねー」って言ってもらえたけど、他の漫画はあまり勧められない…「えっ何これ?」って思われてもおかしくはない不条理で残虐な描写がある。私もあんなにねこぢるにハマれたのは、そういう中二的な時期だったからでもあると思うし。

その中でもわりとおすすめしやすいのがインド旅行記。

これは内容がマイルドで読みやすいしオススメです。
ただしかなり昔のインドの話なのできっと今とは違うんだろうなあ。
この頃のインドは何というかある意味幻想的で宗教的過ぎて一種のファンタジー旅行みたいに思える。


ハマっていた当時に集めたねこぢる大全や、初版ねこぢるうどん、ねこぢる劇場、ねこぢる草、キーホルダー、CD-ROMとかは今でもしまい込んであるけど、あまり再読はしないようにしてます。内容が内容だし、高校の終わり頃からは中学の時に読んでいたような暗いものはなるべく避けるようにしてきたので、時々本当に見返したくなった時だけ見ることにしてます。


コンビニで売られてる安価漫画みたいな、紙質はあまり良くないけど、上下巻でねこぢるの全作品が読める。辞書みたいに分厚いよー。この紙質なのに。

ねこぢるyがねこぢるの夢の内容を漫画にした作品も収録されています。あとねこぢるの夢のメモのコピーでねこぢるの筆跡が見られる。


ねこぢる草。無声映画なので時間のある時に見ないと内容が分からなくなる。(ふきだしはたまに出る。)
死神に奪われてしまったにゃー子の魂の半分を弟のにゃっ太が探しに異世界へ冒険しに行く話。グロさはあまりないけど話に脈絡がなく、ほっこりするようなちょっと不気味なような意味のわからない映画。
美大卒が作ったようなアーティスティックな描写が多くて、当時はねこぢる版不思議の国のアリスみたいだなあと思ったのでした。効果音とか音楽、もわっとした色遣いも好きだったりします。


作品から作者に興味が行くことってあるよね


それでも時々ねこぢるの事を思い出すのは、ねこぢるや旦那の山野一、その友人で「自殺されちゃった僕」(やべえタイトルだ…)の作者吉永嘉明など、作者とその周りの人たちの人格に触れてきたからでした(本やインタビューを見ただけだけど)。それにねこぢるの感性が分からないわけじゃない気がするので。
ねこぢるは31歳で自殺してしまった。山野一はねこぢるy彼女の死後も漫画を引き継いで描いてる。吉永嘉明はねこぢる、青山正明、最愛の妻を亡くしそれを著書に書いた。



作品を読んでいるうちにねこぢる本人に興味が出てきました。こんな話を考えつくのはどんな人なんだろうって、作品の作者の方に興味が行くことは稀ではないと思うのですが、この時もそんな感じでねこぢる本人やその周囲の人々に興味が出てきて色々調べたり読み漁っていたりしたのです。
そこで作者が自殺したことや、旦那の山野一が鬼畜系の漫画家だったこと、その時代に生きていた人達のアングラな体験について知りました。
詳しく描かれているなと思ったのは、友人の吉永嘉明著の「自殺されちゃった僕」、旦那の山野一著の「インドぢる」やねこじるy名義の作品、「ねこぢる純粋理性批判」のあとがきでした。映像では、当時故・ねこぢる本人にスポットを当てた番組(ニコニコ動画で見られる)が特に詳しく描かれていたと思います。

旦那の山野一が生前ねこぢると旅行したインドをねこぢるの弟と行く話+生前のねこぢるとの想い出が書かれてる。これと吉永嘉明の本と合わせて、山野さんめちゃくちゃ包容力あると当時は思っていたような。吉永嘉明の本にねこぢるは結構情緒不安定な面があり、それを山野さんが受け止めていたエピソードがいくつかあったので。


最近ではWikiやホムペにもねこぢると山野一の対談(CD-ROM付きのねこぢるうどんに掲載されていたものとたぶん同じ)や、ねこぢる本人らしき写真が載せられていたりするので、昔よりずっとネットで情報が集めやすくなったなあと思う。私が中高の時のWikiはこんなに詳しく書かれてなかった。



そして現在


ねこぢるは自殺して、旦那の山野一はねこぢるyを引き継いで、再婚し双子の娘が生まれた。鬼畜系山野一はなりを潜め、ねこぢるyのねこぢるyうどんや妖怪アパート、子育て漫画の「そせじ」がAmazonで売られている。これは全部は読んでないけど、誰にでも勧められるくライトな内容で、かつ独特で面白い。



山野一はTwitterをやっていて、時々双子の漫画やねこぢるの絵もアップしてるから、その関係もあって時々想い出します。山野さんがねこぢるの絵をまだ描いていてくれたり、奥さんや双子について描かれたライトな漫画があって良かった。ねこぢるは「墓はいらない、死んだ原因は口外しないでほしい、自分が存在したことすら忘れてほしい」という事を言っていたそうだ。だけど、なんとなく客観的に見て、山野さんが幸せそうで、かつ時々ねこぢるの絵を描いていることが何だかんだ良いことだなあと思うのでした。


↑山野一のX(Twitter)しっかり自分の人生を歩んでる感じが安心。



ねこぢるまとめ


といってもまとめられてないし、主旨のない記事なんだけど。
とりあえずねこぢるの特徴を書いて締めくくります。

・身長152cm、体重37kg(軽っ!!)
・ねこぢるというペンネームは、山野一との「「~汁」って言葉はキタナい」という会話から生まれた言葉。
・食事に対する欲求が少ない(無いに等しい)。」肉や魚は食べない、ツナ缶だけは食べる。ゼリー飲料で満足する。
・喫茶店に一人で入れない。好き嫌いが多いので入ってもスープを飲む程度。
・嘘がつけない。正直で率直で言葉のセンテンスが短い。
・一人でいるのが平気で自分の世界を持っていたがそれを他人を共有しようとはしなかった。
・好きな花はカラー。
・意外に追っかけ体質で好きになった人に対して積極的。
・飼い猫の名前はにゃんすけ。
・ねこぢるうどんのサーカスの巻では着想はねこぢる、オチが山野一のものを採用した。「家族を置いてサーカスについて行くラストがいい」というねこぢるに対して「それだと続きが描けなくなるので家族の元に留まらせました」。出てくるドーマ様の元ネタはFF3に出てくる魔術師。

などなど…他にもいろいろあるけど、長くなるので省略。覚え書きなので本当に当っているのか分からないですが兎に角色々なエピソードがありました。結局リア友にはインド旅行記の話くらいしかしたことがなかったので、ねこぢるトークができる人募集中です。かなりディープに話せますたぶん。

ねこぢるは閉鎖的なものやガロ系、エログロナンセンスとは距離を置いた今でも時々想い出してしまう、不思議な漫画なのでした。万人受けしないのでリア友にはオススメしないけどね。

ねこぢる生前から今の山野一を見ていて思うけど、生きていることは生きている人にとって重要なことなんだなあと。
時々ふと「生きているだけで百点満点。あとはオマケ。」という言葉を想い出す。そんな話です。

おしまい。



追記


山野氏、ねこぢるショップなんてものを出してた。うわー心惹かれる。

ねこぢるy名義のねこぢるyうどん。CGを使い、デジタル作画な上にカラー絵という豪華さ。ただ内容はねこぢる×山野一の夢を合体させたような感じで意味がわからない。まあねこぢるのタイトルが付く時点で意味不明になるのは仕方ないけども。

おばけアパート前編。後半はもう出ないものと考えた方が良いかも。


ねこぢるショップは正直心惹かれる。。小物とかなら買っても良いかな。

今度こそおわり。


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