ナノブロック、∞プチプチなどユニークな商品が多数。2000年代後半のヒットおもちゃ
この連載では、昭和27(1952)年から平成19(2007)年まで55年間続いたおもちゃ屋「さくらトイス」の2代目社長を務めた私が、おもちゃ屋の歩みや懐かしいおもちゃのお話を書いています。
この時期は、おもちゃを販売する異業種小売店のおもちゃ売場拡大や、トイザらスの出店の影響を受けて、メーカー・問屋の統合や子会社化が始まりました。
例えば、2005年にはバンダイとナムコが統合、2006年にはトミーがタカラと統合、問屋ハピネットは関西の問屋モリガングを子会社化して、ますます大きくなりました。
子ども向けの施設、キッザニア(2006年)やアンパンマンミュージアム(2007年)がオープンしたのも、この頃です。
平成18年、斬新なギミックの「爆丸」
平成18(2006)年、セガトイズから「爆丸」が売り出され、男の子たちの間でヒットしました。転がすと変形するギミックが斬新で、私も好きでした。
シーシーピーからは、当時世界最小の赤外線ヘリコプター「ハニービー」が発売されました。
部屋の中で飛ばすとエアコンの空気に流されたりして結構操縦が難しいです。今も我が家にあります。
平成19年、あの「プチプチ」がおもちゃになった
平成19(2007)年、皆さんも空気の入った緩衝材(プチプチ)を指で潰し続けた事があると思います。それをおもちゃにした商品「∞プチプチ」がバンダイから出ました。
この年、私は「さくらトイス」を全店閉店しました。靴のチヨダも玩具部門「ハローマック」を手放しました。
平成20年、大人の女性がはまった「ナノブロック」発売
平成20(2008)年、エポック社の「ホイップる」が発売され、大きくなったらケーキ屋さんになりたい女の子が増えました。
カワダからは「ナノブロック」(4mm×4mm)が発売。従来のブロック玩具とは異なり、小型で可愛い出来上がりに大人の女性の人気を集めました。
旧タカラの「ベイブレード」が4年ぶりに復活して、おもちゃ売り場に活気が戻ってきました。
2年前にセガトイズから発売された「爆丸」は、アメリカで大ヒットとなりました。
映画「崖の上のポニョ」が大ヒットし関連グッズが売れたのも、この年です。「ポーニョ ポニョ ポニョ♪」と歌っている子供たちが沢山いました。
またこの年に、日本玩具協会が「おもちゃ大賞」を創設しました。
◆ベーシック・トイ部門
◆イノベーション・トイ部門
◆トレンディ・トイ部門
◆ハイターゲット・トイ部門
◆共有玩具部門
の5部門で、前年に発売された「∞プチプチ」がトレンディ・トイ部門の大賞でした。
平成21年、「Wii Fit」が登場
平成21(2009)年、幻冬舎から「どうぶつしょうぎ」が発売され、小さな子どもが将棋のルールを学ぶきっかけになりました。
「ベイブレード」のアニメが始まり、昨年から再熱した商品に話題が集まりました。
バンダイが赤ちゃんのブランド「BABY LABO」を立ち上げました。キャラクター玩具ばかりに力を入れているバンダイが、ベーシック玩具にも目を向け始めました。
デジタルゲームの世界では、任天堂から「Wii Fit」が登場。
2007年ごろから流行しだした生キャラメルを作る道具、「生キャラメルポット」がタカラトミーから発売されました。
平成22年、自分の顔がパズルになる?!「ジガゾーパズル」
平成22(2010)年、テンヨーから、携帯で自分の顔の写真を撮って送るだけで自分の顔に組み替えられる「ジガゾーパズル」が発売。メディアでも取り上げられ、話題になりました。
変わったところでは男児向けクッキングトイ「グミックスシリーズ」がメガハウスから発売されました。コーラやシロップで、カブトムシやアメリカザリガニのグミを作ります。
虫つながりで、タカラトミーアーツからは「HEX BUG nano」が発売。小さくてスピード感のある虫みたいなおもちゃは、子どもたちの間で話題になりました。
この5年間は、ユニークなアイデアの商品が多いものの、大ヒットという商品があまりなく、小売店は苦労しました。
私も2007年に会社を閉めましたが、2008年ごろからは日本トイザらスも業績悪化に苦しんでいました。
おもちゃ業界全体としても、各地の問屋や小売専門店が閉店するなどして、苦しい時代が続きました。
なお、今回も、玩具業界紙「トイジャーナル」さんから、画像をお借りしました。
トイジャーナルのホームページには、おもちゃの新商品やイベント情報などの読み物も多数掲載されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
昭和27(1952)年から55年間続いたおもちゃ屋「さくらトイス」の思い出話を毎月更新しています。こちらもぜひご覧くださいね。
編集協力:小窓舎
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