ファミコン、ルービックキューブ、シルバニアとヒットおもちゃの花盛り!昭和50年代のおもちゃのお話
この連載では、昭和27(1952)年から平成19(2007)年まで55年間続いたおもちゃ屋「さくらトイス」の2代目社長を務めた私が、おもちゃ屋の歩みや懐かしいおもちゃのお話を書いています。
今回は昭和51(1976)年から昭和60(1985)年のおもちゃを振り返ります。
日本のおもちゃは、1973(昭和48)年のオイルショックを契機に、省資源・省エネルギーを目指していきます。さらには半導体技術の導入などの技術革新+付加価値の創造などと新たな転換をしていきます。
ファミコン、ルービックキューブ、シルバニアなど、現在まで販売が続く人気おもちゃが続々と誕生した、華やかだった時代。
皆さんの記憶に残っているおもちゃ、大好きだったおもちゃもあるかもしれません。
昭和51(1976)年、超合金ブーム
74年にポピーから発売された「超合金」によるブームのまっただなか、
タカラからはポピーに対抗して「マグネロボット鋼鉄ジーグ」が発売されました。
トミーからも、今でも根強い人気のNゲージ(鉄道模型)「TOMIX」が登場しています。
キャラクター商品としては前年75年からフジテレビで放送された子ども番組「ひらけ!ポンキッキ」で紹介された歌「およげたいやきくん」が大ヒットして、関連グッズが売れました。
昭和52(1977)年 スーパーカー消しゴム
75年から少年ジャンプで連載された「サーキットの狼」の影響で、子どもたちの間でスーパーカーブームが起き、ランボルギーニ、ポルシェ、フェラーリ等のプラモデル、ミニカーも良く売れましたが、ダントツに売れたのがスーパーカー消しゴムでした。学校に持っていって遊んだ子どもも多く、持ち込み禁止になった学校も多かったようです。
女の子はピンクレディー関連商品、キャンディキャンディの商品があります。
また、現在大人から子どもまで、日本人にも外国人にも人気のカプセルトイ。
その歴史は古く、昭和40(1965)年、ペニイ商会がアメリカ製のマシンを輸入したのが最初です。当時は女の子のアクセサリー、指輪などが入っていました。
そして、日本製のカプセルトイ自販機が初めておもちゃ屋に置かれたのが、この年1977年でした。
昭和53(1978)年 スライムが大ヒット
アメリカマテル社の「スライム」をツクダオリジナルが扱い、大ヒットとなりました。もちろん今でもメガハウスから発売されています。
また、前年からのスーパーカーブームの影響を受け、電動ラジコンカーが昨年の10倍を超える空前のヒットとなりました。
女の子向けにはファンシーグッズが伸び始めてきましたが、モンチッチでおなじみのメーカーセキグチより、ナイロン製のふわふわぬいぐるみが登場。それまで、夏はぬいぐるみが売れませんでした。でも、このぬいぐるみは表面がつるっとしたナイロン製で、暑苦しくないのです。そこで夏でもぬいぐるみが売れ、ぬいぐるみ市場が拡大しました。
そして、LSIゲーム(電子ゲーム)が登場したのもこの年です。
LSIゲームとは半導体の技術を使った電子ゲームで、本体に液晶のモニター画面や、操作ボタンなどがついています。いまのゲーム機はソフトを交換していろいろなゲームを楽しめますが、この頃のLSIゲームは、1種類のゲームしかできませんでした。
昭和54(1979)年 インベーダーゲームが大流行
この年の話題は、何といっても半導体導入によるおもちゃのハイテク革命です。インベーダーゲームが大流行、ブロックゲームなども登場して本格的な電子ゲーム時代が始まります。
また、アナログではウルトラマンのソフビ人形が全国的に大流行しました。
昭和55(1980)年 ゲーム&ウオッチ、ルービックキューブが流行
この年、任天堂から液晶型携帯ゲーム機「ゲーム&ウオッチ」が発売されました。覚えている方、遊んだことのある方も多いと思います。手軽にどこでも遊べて、子どもにも大人にも大人気でした。
「ルービックキューブ」もこの年に大流行しました。
12月にはゼンマイばねで駆動する「チョロQ」も発売されました。
昭和56(1981)年 ガンダム・アラレちゃん・なめ猫
機動戦士ガンダムの劇場版アニメ公開で、プラモデルのガンダム=「ガンプラ」ブームに火が付きます。
また、漫画「Dr.スランプ」を原作としたアニメ「Dr.スランプ・アラレちゃん」が放映され、アラレちゃんもブームに。関連おもちゃもたくさん発売されました。
また、ファンシーグッズでは、猫に学生服やセーラー服を着せて写真を撮った「なめ猫」がブームとなりました。
昭和57(1982)年 チョロQが流行
2年前に発売されたチョロQですが、この頃には種類が増え、売り上げを伸ばし始めました。ミニカーコレクションとしては、トミカと並ぶようになりました。
また、トミーから16ビットゲームパソコン「ぴゅう太」が発売されました。ゲーム機にコンピューターが付いているという画期的なもので、価格は59800円。自社開発と聞いてビックリした覚えがあります。この頃はおもちゃメーカーも、開発費が潤沢だったのですね。
さらにこの年、「東京おもちゃショー」が初めて一般公開されました。それまでは関係者のみの展示会でした。
昭和58(1983)年 ファミコン登場!
いよいよ任天堂「ファミリーコンピューター(家庭用ゲーム機)」の発売です。日本では7月に、アメリカでは2年後1985年の10月に発売されました。
任天堂のサイトでは、ファミコンの歴史や、懐かしい歴代のソフトが詳しく紹介されています。
余談ですが、ファミコンの発売により前述のLSIゲーム機の売り上げはダウン。過剰在庫になり、業界はちょっと大変でした。
また、トミーからは「ゾイド」が発売。
子どもたちの間で「キン肉マン消しゴム」も大流行しました。
東京ディズニーランドが開園したのもこの年です
昭和59(1984)年 アメリカ生まれのキャベツ畑人形
アメリカ生まれの人形「キャベッジ・パッチ・キッズ」(キャベツ畑人形)が日本にも入ってきて、人気を呼びました。
アメリカの人形なので顔がリアルで、日本人から見ると一見可愛くない(?)し、肌の色も色々ありました。しかし、それが珍しく魅力でもあり、日本でも大ヒットになりました。
買った人形に名前を付けて「出生証明書」を送ると登録され、確かバースデーカードが送られてきたと記憶しています。
人形は手元にないのですが、こんなピアスがありました。アメリカではグッズが作られるくらいの人気だったのですね。
また、タカラが『TRANSFORMERS』を「超生命体トランスフォーマー」として日本に逆輸入して発売。
これはもともと、アメリカのハズブロ社がタカラと業務提携し、他社の変形ロボット玩具と共に『TRANSFORMERS』として販売し、北米を中心に大ヒットしたおもちゃでした。
昭和60(1985)年 スーパマリオ、シルバニアが誕生
任天堂がファミコンソフト「スーパーマリオブラザーズ」を発売。世界的な大人気シリーズになりましたね。2023年には映画も公開されました。
同じ年、エポック社からは「シルバニアファミリー」が発売されました。
かわいらしさはもちろん、細部までこだわった家具や道具類は高い品質で、大人にも多くのファンが生まれました。もちろん現在まで続く人気おもちゃシリーズですし、世界約50か国で販売されています。
また、トーホーから「ままごとトントン」が発売されました。
野菜にマジックテープが付いていて、切るとサクッと音がするもので、現在では各社からさまざまな商品が発売されていますが、元祖が誕生したのはこの年でした。
今回のこの10年間はカプセルトイ、ガンダム、ファミコン、トランスフォーマー、シルバニアファミリーなど今でも販売されているおもちゃが沢山登場しましたね。
またメーカーは、ホビー玩具など子どもだけでなく大人が遊ぶことを目的とした新しい価値観を持ったおもちゃを考え、開発するようになりました。
電子ゲームなどは、大人がはまっていたという話をよくお客さまから聞きました。子どもが寝静まった後で、親が遊んでいたとか・・・。
今振り返ると、おもちゃ業界がいちばん華やかだった時代かもしれませんね。
昭和27(1952)年から55年間続いたおもちゃ屋「さくらトイス」の思い出話を毎月更新しています。こちらもぜひご覧くださいね。
編集協力:小窓舎
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