アイディアマンとはアイディアの価値を瞬時に判定できる人のことだ。

例えばエジソンだ。

彼は大量のアイディアを思いついた。しかし、重要なことは、その価値を判断し瞬時に評価テストを実行可能な数まで絞り込んだことだ。

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彼の特許数は数百ある。しかし権利化されたのは「発明数」の100分の1だ。

発明は簡単だ。あまりに簡単なので、ほとんどの場合に誰か他の人が先に発明している。だから誰よりも早く発明したかどうかが勝負なのだ。

そのためには、基本的には現状の技術レベルを知らなければならない。多くの人がここでコケる。「発明した!」と本人は主張するが、だいたい50年ぐらい前に誰かがとっくに公表している。つまり新規性がないので権利化しない。

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なお特許は申請するだけでも10万円ぐらいがかかる。ほとんどは弁理士へ払う手数料だ。自分でやることも可能だが、途方も無く煩雑な書類手続きなので、弁理士を雇った方がはるかに安い。自分自身の人件費が発生するからだ。

なお、特許が実際に権利を持つのは、もちろん特許庁の審査官が審査をして、登録されてからだ。これに通る、というか通すのは、申請したうちの100件に1つぐらい。ほとんどは企業側が捨てる。

権利化までの手数料は50~100万円もかかるので、よほど重要で無い限りは権利化などしない。

何のために申請するかというと、目的は競合他社が権利を抑えるのを妨害することだ。

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さらに、権利化した特許が実際に自社の知的財産を直接護るのは、これも100件に1件ぐらい。

私はコマツの研究本部に20年間も勤めていたが、特許の権利を取得したことは一度も無い。出願はそこそこしましたが、製品化などしないので審査請求はしないのです。

また、コマツ研究本部が権利を持ち、他社の製品開発を止めたという事例は一件しか聞いたことがない。

内容は

「レーザーの本体を整備のために筐体から引き出すときに、縦方向では無く、横方向に引き出す」

という実にくだらない特許だ。当たり前のことを特許申請したら通ってしまった。研究など全く関係ない。設計レベルで誰しも考える、縦か横か? と言う話だ。

しかし、これのおかげで競合他社は、自社のレーザーを販売できなくなった。

特許の実態は、このように実にあほくさい物です。

知的財産という言葉から連想されるような、カッコいいものではない。だから「私は特許を○○件も持っている」自慢は知っている人からすると、バカに見えます。

さらに「○○件も出願中」と威張る人がたまにいますが、出願だけなら小学生でもできる。何の自慢にもなりません^^;

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