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話し合いと交渉は違います。交渉に善意や思いやりはない

 話し合いで問題が解決すると信じている人は多い。

 たしかに「話し合い」で、多くの問題が争いなく解決しているかのように見えます。でも多くの場合にそれは「話し合い」ではなくて「交渉」です。
 交渉に善意や思いやりはない 。武力や経済力を持っている側が有利。

 外交はその典型 だ。戦争は起こらないかもしれないが公正でもない。 弱い国家は泣き寝入りします。武力が使われないだけであって、それを「問題解決」と見なして良いかは大いに疑問ですね。
 
 勝ち負けを暴力を使わずに決めるのが交渉です。これは普通の意味では「話し合い」とは言わないでしょう(注1)。

注1:なぜ交渉が重視されるかというと、どうせ同じ結論になるならば、武力を使わない方が双方共に損失が少ないからです。
 戦争になれば確実に負けるとわかったら、戦わずに譲歩した方がマシです。そして強い側が「お前は確実に負ける」と相手に伝えるのが「交渉」です。
 そして普通は「確実な勝ち」などないので、勝つ可能性と負ける可能性を天秤に掛けてお互いに妥協点を見出します。
 また確実に勝つとしても戦えば損失は出る。それを避けるのも交渉です。

 太平洋戦争で日本が目論んだのもこれでした。総力戦になれば米国が勝つのはわかっていた。しかし日本は米国に損失を与えられる。その能力を示したのが真珠湾攻撃です。そして米国から譲歩を引き出すつもりだった。
 けれども米国(ルーズベルトの)の判断は「損失が出ても日本を潰しておくべし」でした。読み違えたのです。
 たぶんルーズベルトは、そこで弱腰に出るとヨーロッパがヒトラーに乗っ取られると考えたのでしょうね。対日全面戦争開始はヒトラーに対するメッセージでもあったのです。
 少し前にチェンバレンの弱腰外交が失敗して、ヒトラーの暴走を招いたのも背景の1つと思います。

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 夫婦間の問題を話し合いでという人は善意を想定しているでしょう。 しかしモラ(自己愛PD)に善意はない。被害者に 「力」がなければ逃げるしかないです。

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おまけ

 外交問題で、「戦争は絶対に避けて交渉で解決すべし」という意見は強いです。
 戦争で勝てる力を持っているなら、それでも良いでしょう。しかし軍事力がない国が「交渉」に望んでも盗られるだけです。
 つまり外交交渉をするには軍事力は欠かせない。「交渉で解決するから軍は不要」とはなりません。逆です。

 それでも戦争で死ぬより交渉の方がマシだという人もいるようです。でも交渉で不利な条件を押しつけられれば、命も取られます。人が死ぬ原因は戦死だけではない。貧困で死ぬ人の方が多いのです。

 ウイグル、クルド、パレスチナ、シリアを見ると武力を持たない人が、どれほど不幸になるか、どれほどの命を奪われるかが良く分かります。

 ウクライナは武力があったから、あの程度で済みました。なかったら、今頃はプーチンの奴隷です。



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