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B737MAXの事故の背景にはマクダネル・ダグラスとの合併があるらしい。

 どうも開発当時のCEOはMD出身らしい。エアバスとの競争で短期利益追求型のCEOが選ばれたらしい。

 ボーイングのマン・ファーストの哲学を無視したようだ。あれは自動失速防止装置がパイロットに勝って墜落した事故だ。 

 737MAX開発者は、とにかく燃費を良くしたかった。しかるにバカでかいファンジェットエンジンを使った。エンジニアリングの観点からは、それが問題の始まりだ。
 大雑把に言うと、機体が不安定になった。
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 そして根本的な問題は経営面に有った。すなわち次の点だ。
 1.型式承認を低コストで済ませたかった。だから新規開発ではなくて、B737を改造した。
 2.パイロットの再訓練(運用コスト増)を避けた。これも737にこだわった理由だ。しかも再訓練不要をセールスポイントにした。

 エンジンを交換したので737MAXは機種上げ特性を持つようになった。エンジンがバカでかくて翼の前に出さざるを得なかったからだ。
 そうしないと地面とぶつかる。もともと737のオリジナルのエンジンは小径だった。

 異常な機種上げによる事故を防ぐために、開発者は自動失速防止装置を新規に付け加えた。これが直接の原因。しかし、再訓練不要を謳っていたので、この変更を「軽微な変更」と言い張り、パイロットには隠した。
 しかるにパイロットは、これの誤動作に対応できずに墜落した。
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 この事故に関しては、私はよくある「センサエラーと訓練不足」だと思っていたが、かなり根が深い問題だ。

 基本的にはボーイングが利益を追求しすぎた。その理由は株主の意向を尊重しすぎたためであり、一種のポピュリズムなのだ。
 株主が安全よりも利益を重視するのは当然だ。それをCEOが長期的展望なしに受け入れたのが、根本的な問題だ。

 CEOが不適任だったとも言える。しかしCEO個人の判断としては、実は合理的なのだ。実際に彼は6000万ドルの退職金を手に入れた。
 大きなリスク背負っていて大失敗したのに、ほとんど損をしていない。単に謝罪しただけだ。
 雇われ経営者の限界だろう。

 残念ながら、今の大企業はほとんどが雇われCEOが経営しており、長期のビジョンも無ければ責任感もない。
 それを期待できるのはオーナー社長(多くは創業社長)が経営している場合だけだ。しかし、その種の大企業はいまやFacebookぐらいしか残っていない。(テスラのイーロン・マスク氏は既に引退の可能性を公言し、持ち株を売り始めている)。

 残りは自社に思い入れのない、雇われCEOばかりだ。

 その観点から言うと、日本の「社畜」型の経営はメリットが有るのだ。会社とともに生き、会社とともに死ぬ。
 しかし実際の事例を見ると、大失敗をしても「辞めるから許してくれ」となるだけで、大して責任感を持ってはいないようだ。

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参考資料はこれです。

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