「推し活」の実態とは

はじめに

「就活」「婚活」など「〇〇活」といった言葉は色々あるが、ここ数年特に最近勢いが増しているのが「推し活」である。
その勢いを表すかのように、検索数は右肩上がりになっている。

「推し活」の検索人気度

また、2021年には新語・流行語大賞にもノミネートされ、いわゆるヲタク界隈だけでなく世間的にも認知されるようになった。

若者のなかでは二次元・三次元問わず何らかの「推し」がいることが当たり前といった風潮も見受けられるが、実際に「推し活」としてどんなことが行われているのかはイメージしづらいのではないだろうか。そこで、今回は「推し活」の実態に迫りたい。

「推し」とは

「推し」とは、自分が「好きだな」「応援したいな」と思う対象のことである。
対象となるものには明確な定義が無く、アイドルや漫画・アニメのキャラクターに限らず、身近な人や無機物でも、もはや何でもアリな状態になっている。
推しを作るために特別なことは存在せず、自分が「〇〇は私の推しである」と思えばそれは既に立派な「推し」として成立する。また、「推し変(=推しを変えること)」することや、複数の推しを作ることも問題ない。

「推し活」として行われていること

実際に「推し活」としてどんなことが行われているのかを紹介していく。
先述したように、推しの対象は非常に幅広くなっているが、今回はイメージしやすいように定番のアイドルやアニメ・漫画のキャラクターの「推し活」に焦点をあてたい。

※なお、個別の投稿を引用するのは憚られるため、ハッシュタグを挙げておくに留めるが、是非リンク先で実際の投稿を見てほしい。

運営元への”お布施”

「公式」と呼ばれるジャンルの運営元にお金を落とす行為は、「推し活」として想像しやすい。昔ながらの応援の仕方であり、具体的な行為としては下記のようなものが挙げられる。

❶ライブやイベントへの参加
一番分かりやすいものは、公式が主催するライブやイベントへの参加だろう。
推しと同じ空間にいられる・話せるという点では、「推し活」のなかでも特別な位置づけである人も少なくない。
参加する際にはライブ・イベント限定グッズを購入・着用する人も多い。また、アイドルの場合は衣装を身に着ける場合もある。

❷グッズ収集
生写真や缶バッジ、キーホルダーなどのグッズの収集も定番の一つである。
トレーディングと呼ばれる誰のグッズが入っているか分からない形態での販売も多く、SNSでの交換・メルカリ等での中古購入も駆使して自分の推しのグッズを集めている人も多い。
缶バッジやキーホルダーを大量につけた「痛バ(=痛バッグ)」や、グッズを飾る「祭壇」を作る人もいる。

ハッシュタグの例(XやInstagramに飛びます)
#痛バ
#痛バッグ
#祭壇

❸ファンクラブ入会
ファンクラブ会員になることで、会員限定コンテンツの供給や会員限定イベントの参加といった特典が受けられる。
また、年会費を払ってファンクラブ会員になることで他の単なる「好き」と言っているだけの人たちと差をつけることもできる。

熱量アピール

近年勢いが増しているのが、自分が推しをどれだけ好きなのかアピールする行為である。SNSの普及もあり、「同担(=同じ推しを持つ人)」へのマウンティングに使われることも少なくない。

❹推し色
推しのメンバーカラーや、髪・服装の色など推しを想起させる色を「推し色」と言う。
たとえば服装や雑貨など、日々の生活に推し色を取り込むことも推し活の一環として捉えられる。
最近では、推し活を推奨する飲食店も登場し、推し色を意識した飲み物や食べ物が提供され、推しの「アクスタ(=アクリルスタンド)」と一緒に写真撮影するなどして楽しまれている。

ハッシュタグの例(XやInstagramに飛びます)
#FSKとお出かけ
#ご飯ととるのがいいと聞きました

❺自作グッズ
公式グッズではなく、推しの名前のネームプレートなどの非公式グッズの自作も近年増えている。
また、推しの名前やメンバーカラーなどをもとに受注製作を承るハンドメイド作家も登場し、Instagramなどで制作過程動画が人気となっている。

ハッシュタグの例(XやInstagramに飛びます)
#自作グッズ

❻「#本人不在の誕生日会」
推しの誕生日を高級レストランやホテル、レンタルスペースなどで盛大にお祝いする様子が、「#本人不在の誕生日会」というハッシュタグとともに投稿されている。Instagramでは40万件弱と、ヲタクにとっては常識になりつつある。
その際、推しのアクリルスタンドやグッズ、名前入りの誕生日ケーキ、風船やガーランドなどの飾りつけが用いられることが多い。

ハッシュタグの例(XやInstagramに飛びます)
#本人不在の誕生日会
#本人不在の誕生祭
#本人不在の生誕祭

おわりに

今回は「推し活」の代表的なものを6つ紹介したが、実際には人によって様々な推し方があるためその方法は無限に存在する。また、時代の変化に伴い応援の仕方も変化していく。
今後も推し活の変化・進化に注目していきたい。

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