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自称フェミニストが「男性は奢るべき」と宣っている

 フェミニストという連中は女性が得になるべく屁理屈をこねるのが大好きみたいだ。私のnoteのトップページにピックアップされた記事に以下の記事がある。

「男性が奢るべきだ」という考えに対して、現代の社会では賛否両論があるかもしれません。しかし、私たちはこの議論を女性の権利や社会的背景を理解するフェミニストの視点から再考する必要があります。男性が女性に奢ることは、単に古い習慣や礼儀ではなく、女性の価値を認め、尊重する行為の一つと捉えるべきです。

男性が奢るべき理由:女性の尊重と社会的配慮の表れ
フェミニストあかり 2024年9月6日 note (強調引用者)

 もちろん、「男性は二等市民として一等市民である女性に奉仕すべき」といったような、セクシズム以外の何ものでもない女性至上主義を信奉するフェミニストの視点というならば、彼女は間違っていない。まぁ、フェミニストがセクシストであることは広範に観察されるので、彼女が特異なフェミニストというわけでもない。珍しくも無い量産型セクシズムフェミニストの一人という訳だ。

 いろいろ、ツッコミどころがあるのだが、そういったものは彼女の続く以下の記事への批判と併せて行おう。今回は「多くの女性が同じ仕事に対して男性よりも低い賃金を受け取っています」というフェミニストがしばしば垂れ流すデマを批判しよう。


■フェミニストがよく吐く「男性よりも低い賃金」のウソ

 最初に当該note記事における大きな事実誤認を確認する。

まず、女性が日常的に直面している経済的不平等を考えてみましょう。賃金格差は依然として大きな問題であり、多くの女性が同じ仕事に対して男性よりも低い賃金を受け取っています。家事労働や育児の負担もまた、圧倒的に女性に偏っています。このような状況において、デートや食事の場で男性が奢ることは、経済的不均衡を埋めるための小さな一歩であり、女性が日々感じている不公平感を軽減する一助となるのです。

同上

 まず、労働基準法第4条では、「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」という男女同一賃金の原則が定められている。つまり、日本社会において同じ仕事をしているのに賃金テーブルが違う事は法的にはあり得ない。この筆者が主張するような「多くの女性が同じ仕事に対して男性よりも低い賃金を受け取っています」という事態は筆者の単なる妄想である。まったくフェミニストというクズは相も変わらずクソみたいなデマを飛ばしている。

 しかし、フェミニスト共は揃いもそろって「女性は男性よりも少ない所得しか得られていない」と大騒ぎする。では、フェミニストのこの鳴き声が事実無根なのかといえばそうでもない。確かに、マクロ的にみれば男女で所得格差あるいは賃金格差がある。そこで「日本における男女の賃金格差」なるものの正体を暴こう。

 シンプルに結論を言えば「働いている時間の長さが違うから、男女で賃金が違う」という当たり前の話である。

 引用箇所にもある「家事労働や育児の負担もまた、圧倒的に女性に偏っています」といった類の、女性負担だけに着目するフェミニストがよく持ち出す無償労働時間との関係を含めて、男女の有償労働時間の差異を見てみよう。

男女共同参画白書 令和5年版 
特-9図 無償労働時間と有償労働時間の状況(週全体平均)(1日当たり、国際比較)

 このデータはフェミニストが無償労働時間だけを取り上げ、「日本の男性の無償労働時間は女性の1/5未満だ!」と大騒ぎすることで有名なデータである。しかし、よく見ればわかるように「ほぼ同じ時間だけ、男性は家事の代わりに仕事をしており、女性は仕事の代わりに家事をしている」という話である。

 ただし、「日本の男性は女性よりも無償労働が183分短く有償労働が180分長い」という事実を、有償労働に関しては男性の方が女性よりも180分長いことを隠して、無償労働が女性よりも男性が183分短いことだけをフェミニストは騒ぎ立てる。流石は「都合の悪いデータは隠す」と恥ずかしげもなく堂々と言ってのける人間を第一人者の学者として有難がる価値観を持つ異常集団である。

 そんな日本においてご都合主義的にフェミニストが切り取るデータであるのだが、「有償労働時間について、男性が452分で、女性が272分」という事実を明らかにしてくれているので有難いデータである。このデータから男性の有償労働時間を100としたとき、女性の有償労働時間は60.2であることが明らかになるのだ。

 さらに、もう少し細かい事情を、厚生労働省が作成した以下の図から確認しよう。

出典:厚生労働省 雇用環境・均等局雇用機会均等課
「男性労働者及び女性労働者のそれぞれの職業生活の動向」

 さて、雇用者の数は男性が3008万人、女性が2681万人であるから、男性を100としたとき、女性は89.1である。また、男性は正社員として働くのが77.8%、女性は正社員として働くのが46.6%である。男性正社員を100としたとき、女性正社員は53.4である。また、正社員と一般労働者は同一概念ではないが、一般労働者の平均月間総労働時間は162.1時間、パートタイム労働者の平均月間総労働時間は78.8時間である。一般労働者の平均月間総労働時間を100としたとき、パートタイム労働者の平均月間総労働時間は48.6である。

 つまり、働き方が男女で異なる。働いている時間の長さも違えば、背負っている責任の重さも違う。労働を巡る事情が統計的に見て男女で全く違うのだ。このような事情を無視して男女で賃金格差があるのはジェンダー不正義だと考える理屈は、以下のような主張を正義に適った主張とする理屈と同じである。

看護師として夜勤で10時間働いてもらったけど、スーパーで5時間レジ打ちしたパートの日当と同じ金額でいいよね?

筆者作成

 誰がこんな理屈を正しいと思うのか。単純に働いている時間に注目してさえ、支払われる賃金が同じだと不正義と感じるだろう。


■男と同じように働けというだけの話

 クラウディア・ゴールディンの研究がノーベル経済学賞を取ってなお、この手の戯言を言っている段階にフェミニストがいることにビックリである。男女の賃金差異についての構造「キャリア中断期間の差・週間労働時間の差・学生時代のトレーニングの差」で男女の賃金格差が説明できるとした、ゴールディンの研究結果を無視している。つまり、女性が男性と同様に学習して労働すれば男女で賃金差異は発生しない経済構造を無視している。

 このときのゴールディンの理論モデルは、「時間×時給」で賃金差異が生じるといった単純な線形モデルではない。累積労働時間によってビジネス能力が向上する非線形なモデルである。つまり、「ハードワークをするとそれに応じて能力も上がる。能力上昇に応じて単位時間当たりの賃金も上昇する」というモデルなのだ。そして、この構造には性差がない。つまり、ハードワーカーになればそこに男女で賃金差異が生じない。

 日本の男女の賃金格差が生じている理由は、ゴールディンの研究結果によれば、次のようなメカニズムで生じている。

 現時点で女性は労働時間が短いからビジネス能力が上昇しないのであり、そのビジネス能力に応じた単位時間当たり賃金も上昇しない。したがって、男性と比較した女性のマクロ的な労働時間の短さも相まってマクロ的な男女の賃金格差が生じているのである。

 因みに、ゴールディンの研究において重要な要因として挙げられた、「キャリア中断期間の差・週間労働時間の差・学生時代のトレーニングの差」に関して特に前二者が重要とされている。

 週間労働時間の差については先に挙げた「男女共同参画白書 令和5年版; 特-9図 無償労働時間と有償労働時間の状況」の図を確認してもらえばよい。そこで、キャリア中断期間の男女差の参考となるデータを示そう。まぁ、もっと直接的なデータも探せばあるのかもしれないが、以下に挙げる年齢階級別離職率の男女差を見るだけで、統計データとしてキャリア中断に関する男女差が分かるだろう。


出典:「男女間賃金格差について」内閣府男女共同参画局 令和4年3月18日

  以上のデータとゴールディンの研究から言えることは、

女性も男性と同じく会社を辞めずに働け!

という事である。

 日本の男女の賃金格差を問題にしたいフェミニストは、仕事が嫌になって自分探しとかテキトーな言い訳見つけて海外の大学で「ジェンダー学を学びました」とか言ってる意識高い系女性に「お前らが会社辞めずに働かないから男女の賃金格差が縮小しないんだよ。『フェミニズムで世の中の不正義が分かりました』とか御託いってないで、男連中みたいに歯を食いしばって働けや!」と叱り飛ばすべきなのだ。

 まぁ、ブーメランが自分の額に突き刺さるだろうがね。

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