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パワフルな女性「木の又小屋」

こちらの続きです。

丹沢縦走1日目、木の又小屋に到着して、
荷物をお布団の足元に下ろして、ささっと着替える。

ここに今夜泊まる皆さんは、
もう飲み会をしている。私も、もう一本ビールを手にして、皆さんの輪に入る。

「空がきれいですよー」

山小屋スタッフの女性が、みんなに声をかけると、皆さん携帯電話を持って、外の展望のいい場所に移動する。

不思議な夕焼け空

魔法使いが現れた様
絵筆でささっと描いた様な不思議な空


「わー、きれい!」

こうして夕日を見ていても、寒くない。(薄手のダウンは着ていたけど)

「今日は星がきれいに見えるかもしれないですね。」

スタッフさんの言葉に、
楽しみに夜を待つ。

小屋に戻ると、夕飯の配膳の準備が始まっていた。みんなそれぞれお手伝いして、夕飯だ。

と、そこへ遅れていた女性が、

「ギリギリ間に合いましたー」

と言って登場した。
夕ご飯のポトフが運ばれてくる。

じゃがいもホクホク、スープも美味しかった。

私の隣に座った女性は、70歳くらい?いや、超えているかな?
鳥取から来たと言う。

「鳥取‼︎」

驚くみんなに、

「いえ〜、この年になって推しが出来ましてね。」
「あ〜、この話始めたら止まらなくなっちゃう💕」

と、少女の様に顔を赤らめ幸せそうに、推しの話が始まった。
(ごめんなさい、推しの名前忘れた)

ファンクラブに入っていて、
12月5日に横浜でファンクラブがあって、それに当たってー、こちらまで来たから、
せっかくだから近くの山を登ろうと調べて丹沢に来たのよ。と終始幸せそう。

「どこから登り始めたんですか?」

「大山のケーブル口に、7時前に着いてね、」

「えっ?」

みんなえっ!
彼女話に驚く。

「ケーブルカーの時間が9時からだったから、下から歩いて来たから、時間かかっちゃって、ちゃんと計画しなくちゃダメね。」

えっ、ケーブルカー使わずに下から登って来た?

大山は丹沢で一番有名な山、中腹には「阿夫利神社」という神社がある。島根から来たからには、大山には登りたいだろう。
登って降りて、ヤビツ峠に着いたのが、12時で。

今日の私より、1山多く登って5時間多く歩いている。しかもこのアップダウンの激しい道を。

「わぁ〜健脚ですね。」

「そんなことないわよ。あと何年山登り出来るかわからないから、推しとセットで登山を楽しんでるの〜。」

私は途中、足が攣りそうになったのに、
彼女は、まったく疲れた様子もなく、その26歳だという美男子の推しの写真をみんなに見せる。

「は〜ぁ、推しがいると若返るのね、私も見つけようかしら?」

と、奥の叔母様方も興味深々で聴いている。

推しの話をしゃべり倒して、

「私は明日早いので、先に失礼します。」

と、お布団に行こうとする。

そこへ空かさず、

「明日はどちらまで?」

「丹沢山に登って、戻ってきて鍋割山の鍋焼きうどんを食べて帰ります。」

という、

山慣れした、男性陣が

「いやー、鍋割山の鍋焼きうどんは1時には無くなっちゃうよ。どっちか一方にした方がいいんじゃない?」

と言うと、

「せっかくここまで来たから、両方とも行きたいんです。」

と、2階のお布団部屋に上がっていった。

(ひゃー、すごい。)

早々に丹沢山は諦めて、鍋焼きうどん一択にした私。(丹沢山を往復すると、3時間半かかる、そこから鍋割山は1時間半)

奥にいた叔母様達は、丹沢山だけ行って下山するそうだ。

翌朝。

今日もいい天気です。
日が登る
空が真っ赤

太陽が頭を出し始めると、
辺りは一気に明るくなる。

朝ごはん。野菜たっぷりだった。

木の又小屋の朝ごはんは、野菜たっぷり、ボリュームいっぱいで、
お腹いっぱいだ。

推しの女性は、朝食を取ってすぐに出かけて行った。
カツカツカツっ、木道を力強く歩く彼女の足音が響いてくる。

いやー、
世の中すごい人はいるものです。

私は、ダルマストーブがついて、
ぬくぬくとあったかい山小屋で、のんびりコーヒーを入れた。
窓から見える空は真っ青だ。
あ〜、今日もいい天気だなぁ。

おまけ
夜、街を見下ろす。

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