93 お父さんがやってきた日
ワタシは龍星と離れてそのままタクシーに乗ってお家に帰った。
*まだ伊織さん帰ってきてないよね?*
そ〜っと玄関の鍵を開ける
こんな帰り方するのはやっぱり《やましい事をしてきたワタシ》
がいるからだと思う
だけど…まさかの予想外だった
家の中にはお父さんと伊織さんが二人で話をしていた
ワタシ「たっただいまです!」
伊織さんは嬉しそうに笑みを作る
ワタシはギュッと心臓が締め付けられそうだった
父「…櫻。元気か?」
ワタシ「はい…元気です…」
ワタシは昔からお父さんの前に出ると萎縮してしまい
今も変な汗が出ている
ドキドキドキドキ
父「…子供はまだ作れるからな。
だが毎月産婦人科には検査に行きなさい」
えっ
伊織さん話したの?
ワタシ「…はい」
ワタシはこれ以上何か言われるのが怖かったのと、今日の事がバレてしまうんではないかと思いそそくさと
着替えに別の部屋に行った
別室で着替えていたら伊織さんが
抱きついてきた
ワタシ「伊織さん!お父さんいるから」
伊織さんは構わずキスをしてくる
匂いでバレないかな
龍星は独特の香水使ってるから…
だけど伊織さんは気付いてないみたいで、嬉しそうにワタシの頬を撫でてくる
伊織「さくらちゃん?俺、ちゃんとえみなとは外で会ったからね?」
ワタシ「…はい」
えみなの事はすっかり忘れていた
まだ自分の匂いに動揺しているワタシ
しっかりしろ!櫻!
ワタシ「伊織さん?お父さんは何故急に?」
伊織「あ〜〇〇会に顔を出すみたいだよ。ついでに様子を見に来はったって。式はどうするのかって」
結婚式
ワタシが今最も恐れている
両家が集まり、更に友達も集まり
親戚なども来る
いわゆる色々とバレちゃう日の事だ
ワタシはずっと両家から*式はまだか式はまだかと言われていた時
(早く子供でも出来て言い訳作って
何年後かにします。とか考えていたのだ)
でも赤ちゃんはもういない
ワタシ「ははっどうしましょうかね」
伊織さんは*オカンと話してみなよ*
と言い
お父さんに呼ばれて別室へ行ってしまった
その時携帯が光る
*(すぐ消せよ? さくら、マジで嬉しかった。願いが叶った。また伊織がいない時に電話ちょうだい
愛してる)
ワタシは顔が真っ赤だった
メールは残せないからコピーして
メモに残しておいた
…龍星…
その時、ふと気配がしたから振り返ると急にお父さんが後ろにいた
ワタシ「びっくりするやん!」
父「この家良いな。伊織も良い男で良かったな」
ワタシ「えっ?はい?…」
父「…ウワキはバレないようにするもんだぞ?…」
ワタシは倒れそうだった
更にお父さんは
父「お前が1番俺に似てるよ」
と言い、伊織さんの元に行って普通に話をしていた
ワタシはまだまだだ
こういう時思い知らされるのだ
心臓の音が止まない為中々2人の元へ行けない…
ワタシはとりあえず無難な格好をして精神安定剤を飲んだ
続く
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