行き場の無い怒りを抱えたとき、我々はどうなるのか、どうするべきなのか

今回はとあるゲームをベースに書いていきますが、話の本質的な部分としては「行き場の無い怒り」がテーマです。
最近、カラーマリスという舞台を観てきました。

この作品は、メインキャラからそうでないキャラまで理不尽な目に遭っている人が多いです。
上の五人のうち、三人は警察組織に反感ややるせなさを感じて退職し、探偵事務所で働いています。
その中で様々な事件が起きます。
メインキャラが慕っていた警察官をしている先輩が、成績を上げる為に誤認逮捕をする。
その事実を知り、ショックを受けて退職するメインキャラ。
誤認逮捕されたことで、家族も職も失った人。
もう一人、誤認逮捕をされた人がいて、それによりバンドデビューを潰された人。
メインキャラの親が、一方的にギャングに絡まれ目の前で射殺され、それ以来銃がトラウマになっている人(しかも、犯人は逮捕されず)。

登場キャラは過去にそこそこ折り合いをつけている人もいれば、理不尽な社会への復讐に殺人をする人達もいます。
というか、このゲームは殺人犯だらけです。
だけど、殺人犯が犯罪を犯した理由が肩入れしやすいものばかりなのです。
その中で特に印象に残っているのが、(ここからネタバレになります)

主人公の弟のバンド仲間の瀬良あきと君。
舞台ではこんな風に原作に忠実に再現されております↓

瀬良君は、自分の妹がいじめられていたことを知り、許せなくて妹のクラスメイト全員を爆破します。
けど、話していくうちに「本当に、一番許せなかったのは何もしなかった僕だ」的なことを呟きます。
人間というのは、自分の器以上の苦しみや怒りや悲しみを覚えたとき、何処かにぶつけることで自分を保つことがあると思います。
瀬良君はまさにそれだと私は解釈しています。

私達は生きていると、理不尽な目に遭うことは何度もあって。
そういうとき、私達はどうしたらよいのでしょう?
我慢をするのにも限界がある。
ストレス発散をするのにも発散しきれないかもしれない。
この作品の原作は恋愛ゲームで、イケメンと恋愛が出来るゲームですが、それ以上に魅力的なのは被害者が加害者になった構図、理不尽、怒り、苦しみ、悲しみ、後悔、各々の正義、これらを物凄くリアルに描かれているんですね。
現実世界でもありますよね。
詳しく事件名を出すのは憚れるのですが、ある日いきなり事故で家族を亡くした方、毒親に育てられて孤独を抱えて通り魔になった方、その通り魔とは無関係なのに傷付けられた、殺された方、パワハラ、セクハラ、モラハラ、最早あげたらキリが無いくらい。

「辛いなら逃げればいい」なんて言うのは簡単ですけど、過去にされた嫌な出来事を消すことは出来ず、何年経っても古傷に苦しめられることがあるのに、何処に逃げればいいんだ、と思います。
他人から逃げることは出来ても、自分の記憶や感情からは逃げることが出来ません。
記憶喪失にでもなるなら話は別ですが、それではあまりに非現実的な解決策です。
皆さんは、自分のキャパオーバーな出来事と遭遇したとき、どうやって折り合いをつけたり、乗り切ったりしていますか?

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