見出し画像

おうち時間を楽しむ【編み物編】

1.編み物のきっかけ

 私が小さい頃、母や祖母は冬になると、近所の手芸屋さんで毛糸を購入し、マフラーや手袋を編んでいた。かぎ針だったり、棒針だったり。棒針4本で手袋を編んでいる祖母の手はすごいと思いながら見ていた。
 小学生の頃には、実際に編み方を教わり、冬休みの自由研究としてマフラーを編んで、始業日に提出した。とりあえず、棒針でひたすら表編みをして、ガーター編みのマフラーを編んでいた。なかなか不器用な私は、恥ずかしながらもガタガタな編み目のマフラーを提出した。一方、一緒に提出した妹はなかなか器用で、私の悪戦苦闘を横目に表編み裏編みをすぐに覚え、二目ゴム編みで使い勝手のいいマフラーに仕上げて提出していた。
 かぎ針編みも一緒に教えてもらったが、鎖編みが精一杯で、長編みになるとどこまで編んだのか、1人でパニックになってしまう有様。これは、今でも変わらず、未だにかぎ針で作品を作ったのは、せいぜいアクリルたわし程度である。
 小学6年の時に、編み物クラブに入った。そこでもマフラー製作に挑戦し、ようやくメリアス編みのマフラーを完成させた。きれいな編み上がりとは言えないが、ニットの手触りや温もりが気持ちよく、いつかはしっかりした作品に仕上げたいと思っていた。

2.編み物を始めて

 クラブ卒業後は、すっかり編み物熱は冷めていた。上手く進まない編み物は辞めていた。
 妊娠中、それまでの仕事をセーブし、体調が安定して、自分時間が増えた頃、ふと編み物でもしようかと思い立った。早速、夫にマフラーを編んだ。昔、挫折した二目ゴム編みで。集中してできたせいなのか、手芸技術が上がったのか、思っていた以上の良い出来で完成した。私が不器用なことを知っている夫がかなり驚いていたのは、今でも覚えている。
 出産後、子供用のベストを編んだ。ミッフィーの絵柄の物で、後に下の子も着る程、長く愛用された。

3.編み物を再開する

 その後、仕事と子育てで慌しい日々を送るうち、すっかり編み物から遠のいてしまっていた。ニット帽や手袋は毛糸を買って編むより、お店で買った方が安上がりなご時世だったこともあり、遠のいてしまった。
 ある日、たまたま買い物に行った100円ショップで、色鮮やかな沢山の毛糸を見つけた。子供の冬の帽子を買わなくてはならない頃で、成長期の時期に毎年のように買い替える現実に、辟易していた時だった。安い毛糸で帽子を編めば、今季だけでも済むし、来年又その時のサイズに合わせて編めばいいと思い、数玉の毛糸を購入した。奥底からしまい込まれていた編み針と編み物の本を出してきて、ニット帽を編み上げた。結局、そのニット帽は数年愛用されていたが、とうとうサイズアウトした。
 この後、毛糸が余ったと言っては、ニット帽やスヌードを編み上げ、実家の両親に送ったり、自分の仕事用や外出用にといくつか編み上げた。

4.編み物の効用

 当時、毎月通院していた病院の主治医との世間話で、編み物の話になった。最近、編み物にハマっていることを話すと、先生は面白いお話を教えてくださった。
 編み物という動作は、指を使って規則的に動かしていくこと、動かすことで結果が出る(ここでは作品を完成させること)という行為で、気分を安定させ、集中力をつけるにはもってこいの行為だそうだ。実際、とある大学の研究者の中には、編み物を趣味とする先生方が多いとのことだ。
 そういえば、就寝前の少しの時間に編み物をして、寝床に入る前に血圧測定をすると、とても安定した数値になる。翌朝も安定している。編み物に集中しすぎて、気がつくと思っていた以上に時間が経過していたことは、しょっちゅうである。そんな精神状態を「ニッターズハイ」というのを、最近何かの本で読んだ。
 写真の帽子とマフラーは、今季自分の外出用に編み、最近ようやく完成した。現在、仕事用のスヌードを編んでいる。この季節、週末は「ニッターズハイ」になりながら、おうち時間を楽しんでいる。

この記事が参加している募集

#おうち時間を工夫で楽しく

95,427件

#私の作品紹介

97,568件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?