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本日の一曲 vol.286 マウンテン ナンタケット・スレイライド (Mountain: Nantucket Sleighride (To Owen Coffin), 1971)

マウンテンは、アメリカのハード・ロック・バンドで、1969年にギタリストのレズリー・ウエスト(Leslie West)さんがファースト・ソロ・アルバム「マウンテン(Mountain)」を制作した際に、プロデューサーとして、フェリックス・パパラルディ(Felix Papparardi)さんがボーカルとベーシストとして参加したことをきっかけに結成されたバンドです。マウンテンというバンドとしては、1970年にリリースされた「勝利への登攀(Climbing!)」からになるようです。

マウンテンのレズリー・ウェストさんについては、一度、クリス・スペディング(Chris Spedding)さんの「ギター・ジャンボリー(Guitar Jamboree)」で取り上げたことがありました。

フェリックス・パパラルディさんは、このマウンテンの前はクリーム(Cream)のプロデューサーとして「カラフル・クリーム(Disraeli Gears, 1967)」に参加し、「クリームの素晴らしき世界(Wheels of Fire, 1968)」では演奏に加わって、「4人目のクリーム」と呼ばれていた人物でした。

本日ご紹介するナンタケット・スレイライドは、1971年にリリースされた3枚目のアルバムのタイトル曲です。この曲は、1820年にマッコウクジラに体当たりをされて難破した捕鯨船エセックス号で、難破の余波で、船員に撃たれて食べられてしまった若い船員オーウェン・コフィンの棺に捧げられたものです。

実は、アルバムでこの曲を聴くと、この曲の前に「タウンタ(Taunta (Sammy's Tune))」という曲が収録されており、この曲が前奏曲のようになっていますので、できれば「タウンタ」から聴いていただきたいところです。

この曲は、フェリックス・パパラルディさんとその奥様のゲイル・コリンズ(Gail Collins)さんとの共作になっており、ゲイルさんは、アルバム「ナンタケット・スレイライド」のカバーアート(動画のアイキャッチ画像がそのアルバムです)も担当していました。

その後、マウンテンは、1971年にもう1枚のアルバム「悪の華(Flowers Of Evil)」をリリースしました。このアルバムには、「タウンタ」~「ナンタケット・スレイライド」を彷彿とさせる「王様のコラール(King's Chorale)」~「最後の冷たいキス(One Last Cold Kiss)」が収録されていました。

1972年には、フェリックスさんが難聴を理由にバンドを脱退してバンドは空中分解しましたが、1973年にいろいろあって日本に来日、この日本公演での前座がクリエイションでした。この日本公演は、ライブアルバム「異邦の薫り(Twin Peaks, 1974)」としてリリースされ、「ナンタケット・スレイライド」も収録されました。なんと30分超の演奏でした。

ちなみに、この「異邦の薫り」のカバーアートもゲイルさんによるものです。しかし、この後、バンドは続かず、同年にアルバム「雪崩(Avalanche)」を残して解散してしまいました。

フェリックスさんは、この後、1976年にクリエイションとアルバム「クリエイション・ウイズ・フェリックス・パパラルディ」を制作、リリースしたりしました。

ところが、フェリックスさんは、1983年4月17日、ニューヨークのアパートで、奥様のゲイルさんに首を撃たれて、43才の若さで亡くなってしまうのです。奥様は、第2級殺人罪で起訴されましたが、罪を争い、過失致死罪で有罪となり、16か月~4年の不定期刑を言い渡されて服役、1985年4月30日に仮釈放となりました。ゲイルさんは、2013年12月6日、メキシコ・ハリスコ州のアジジックで亡くなりました。

(by R)


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