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本日の一曲

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さくらMusic officeでは、新企画「本日の一曲」をスタートしました! この「本日の一曲」では、ジャンルにこだわらず、時にはアーティストや時代背景にも触れながら、誰もが知…
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2023年11月の記事一覧

本日の一曲 vol.113 ピンク・フロイド シー・エミリー・プレイ (Pink Floyd: See Emily Play, 1967)

はじめにピンク・フロイドは、「プログレ」(Progressive Rock)といわれるジャンルの代表格のバンドであり、「狂気(Dark Side Of The Moon)」(1973)、「アニマルズ(Animals)」(1977)、「ザ・ウォール(The Wall)」(1979)などが代表作として挙げられると思います。 1967年のデビューシングルから現在まで活動休止期間をはさんで活動を続けていますが、時期によってリーダーシップをとっているメンバーが違ったりしています。本

本日の一曲 vol.112 BABYMETAL 紅月-アカツキ- (2013)

2010年結成のBABYMETALも、結成はや13年になります。BABYMETALは、シンガーソングライティングをするバンドというわけではなく、歌うダンスユニットであり、楽曲や演奏はまわりがサポートする形になっています。BABYMETALは一つのコンセプトであり、たくさんの人々が制作に関わっているようで、楽曲についても誰が作詞作曲をしているのかよくわかりません😅 しかし、楽曲自体は、演奏も含めて、ヘヴィーメタルの様式にしたがったすばらしいものだと思います。本日は、イントロ部

本日の一曲 vol.111 エイナウディ 波 (Ludovico Einaudi: Le Onde, 1996)

ルドヴィコ・エイナウディさんというイタリアの作曲家のことはご存知でしょうか?ルドヴィコさんは、1955年、イタリアのトリノに生まれた作曲家で、現在、イタリア政府の音楽大使を務めているそうです。 ルドヴィコさんが、1996年に発表した初のソロ・ピアノ・アルバムが「Le onde / The Waves」です。これをオランダのピアニストであるイェロン・ファン・ヴィーンさんが演奏して、オランダのブリリアント・レーベルからYouTubeの動画で公開されています。 いかがでしょうか

本日の一曲 vol.110 1910フルーツガム・カンパニー トレイン (The 1910 Fruitgum Co.: The Train, 1969) 鉄道ファンのための。

1910フルーツガム・カンパニーは、1960年代後半から1970年代前半にかけてヒットを飛ばしていたアメリカのニュージャージーのバンドで、「バブルガム・ポップ」とちょっと小馬鹿にされた名前で呼ばれ、また、1971年の伝説のロック・フェス「箱根アフロディーテ」に出演したことでも名前を残しています。「トレイン」は、日本でも1969年にリリースされたシングル曲です。列車に乗って、彼女に会いに行く、という曲です。 実は、このバンドはまだ活動を続けています。 それと、このバンドが記

本日の一曲 vol.109 泉谷しげる 翼なき野郎ども (1978)

どちらかというと、泉谷さんは、テレビによくご出演されていますので、タレントと思われているかも知れませんが、泉谷しげるさんはロックの人です。 泉谷しげるさんの「翼なき野郎ども」は、1978年にリリースされた「'80のバラッド」に収録された曲で、1980年公開の映画で、泉谷さんが美術を担当した「狂い咲きサンダーロード」のエンディングでも使用されてた曲です。 ただ、泉谷さんの作品も全部サブスクで聴くことができず、サブスクで聴けるのは、1988年にリリースされた「IZUMIYA

本日の一曲 vol.108 オネゲル パシフィック231 (Arthur Honegger: Pacific 231, 1923) 鉄道ファンのための。

例に漏れず、音楽家の中にも鉄道ファンはたくさんいます。クラシック音楽の中で最も有名な鉄道の曲は、フランスの作曲家オネゲル(国籍はフランスとスイスの二重国籍だそうです。)の「パシフィック231」だと思います。表題の「パシフィック231」とは、蒸気機関車の車軸位置のことだそうです。1923年に作曲され、スイスの指揮者エルネスト・アンセルメさんに献呈され、翌1924年にセルゲイ・クーセヴィツキーさんの指揮でパリ・オペラ座管弦楽団の演奏で初演されました。 蒸気機関車が軋む音から始ま

本日の一曲 vol.107 ピアノ・トリオ集 (5/5) ブラームス ピアノ三重奏曲第3番ハ短調 (Johannes Brahms: Piano Trio No.3 c moll, 1886)

1886年、前年に最後の交響曲である第4番を完成させた53歳のブラームスさんは、スイスのトゥーン湖に避暑に訪れます。 ブラームスさんは、しばらくここで作曲活動にはげみ、このピアノ三重奏曲第3番作品番号101のほか、チェロ・ソナタ第2番やヴァイオリン・ソナタ第2番なども書き上げられました。 プラハ・グァルネリ・トリオによる演奏です。ちょうど3番に飛ぶように設定してあります。 この動画には、他のピアノ三重奏曲も収録されていますので、他の曲もお聴きになってみて下さい。ブラーム

本日の一曲 vol.106 ジェフ・ベック スリング・ショット (Jeff Beck: Sling Shot, 1989)

はじめに本日ご紹介する「スリング・ショット」は、ジェフ・ベックさんの1989年リリースのアルバム「ギター・ショップ(Jeff Beck's Guitar Shop)」の中のラストを飾る曲です。 ジェフさんは、1944年6月24日に生まれ、今年の1月10日に78歳で突然亡くなってしまいました。ローリング・ストーン誌の「史上最も偉大な250人のギタリスト(The 250 Greatest Guitarists of All Time)」でも5位のギタリストです。ちなみに4位は

本日の一曲 vol.105 ピアノ・トリオ集 (4/5) フォーレ ピアノ三重奏曲 (Gabriel Fauré: Piano Trio, 1923)

ガブリエル・フォーレさんは、19世紀後半から20世紀前半にかけて活動したフランスの作曲家で、50歳のころ、パリ音楽院の教授に就任し、そこでモーリス・ラヴェルさん、ジョルジェ・エネスクさん、ナディア・ブーランジェさんなどを育てました。そして、60歳のころ、パリ音楽院の学長になり、ワグナーやドビュッシーまで新しい音楽をカリキュラムに入れるなど、パリ音楽院の「改革」を図りました。しかし、そのころから、難聴に悩まされるようになり、1924年に79歳で亡くなるまで、難聴が回復することは

本日の一曲 vol.104 シド・ヴィシャス マイ・ウェイ (Sid Vicious: My Way, 1978)

セックス・ピストルズは、1977年10月にロック史上屈指の名盤「勝手にしやがれ!(Never Mind the Bollocks, Here's the Sex Pistols)」をリリースし、翌年1月のアメリカ・ツアーでヴォーカルのジョン・ライドン(John Lydon、ピストルズ時代はジョニー・ロットン、Johnny Rotten)さんが脱退してしまい、バンドは崩壊。その後、ピストルズの仕掛け人と言われたマルコム・マクラーレン(Malcolm McLaren)さんが映画「

本日の一曲 vol.103 ジミ・ヘンドリックス マシン・ガン (Jimi Hendrix, Band Of Gypsys: Machine Gun, 1970)

ジミ・ヘンドリックスさんのブルースは、とても特殊なブルースで唯一無二の音楽だと思っています。ジミさんのキャリアのうち、前半のブルースは、ジミさんのルーツというだけあって、けっこう元気なブルースです。これをまとめたのが、1994年にリリースされた、その名のとおり「ブルーズ(Blues)」です。 しかし、ジミさんのブルースの真骨頂は、1970年年頭のフィルモア・イーストでのライブ「バンド・オブ・ジプシーズ(Band Of Gypsys)」に収録された「マシン・ガン」でしょう。マ

本日の一曲 vol.102 ピアノ・トリオ集 (3/5) チャイコフスキー ピアノ三重奏曲 偉大な芸術家の思い出に (Pyotr Ilyich Tchaikovsky: Piano Trio a moll In memory of a great artist, 1882)

ピアノ・トリオ集の3曲めは、チャイコフスキーの「偉大な芸術家の思い出に」です。この曲は、5歳年上の友人のピアニストであるニコライ・ルビンシテイン(Nikolai Rubinshtein)さんが1881年に46歳で亡くなってしまったことを悼んで作曲されたものです。このときチャイコフスキーさんは、まだ40歳でした。 追悼の音楽ですので、悲しむ第1楽章と偲ぶ第2楽章からなっています。この曲の録音はたいがいピアノ、ヴァイオリン、チェロの名手が集まって弾いています。YouTubeで音

本日の一曲 vol.101 エリック・シュルツ 跡を残さない~指揮者カルロス・クライバー (Eric Schulz’ film: Traces to Nowhere - The conductor Carlos Kleiber, 2016)

最近、カルロス・クライバーさんが指揮した椿姫を紹介しました。 カルロスさんが2004年に亡くなった後、エリック・シュルツさんがカルロスさんの妹さん、ミヒャエル・ギーレンさん、ブリギッテ・ファスベンダーさん、プラシド・ドミンゴさん(前述の椿姫でのアルフレード役)、オットー・シェンクさんなどにインタビューをした、カルロスさんのドキュメンタリーが制作されました(「Tracers to Nowhere」)。英語の字幕付きであり、ブラウザの翻訳機能を使えば、日本語字幕としてみることが

本日の一曲 vol.100 ヒリヤード・アンサンブル ペロタン (The Hilliard Ensemble: Perotin, 1989)

ヒリヤード・アンサンブルは、1973年から2014年までの約40年間活動したイギリスの男声アンサンブルで、主に中世音楽やルネサンス音楽を歌っていました。 本日ご紹介する「ペロタン(Pérotin)」とは、12~13世紀(日本でいうと鎌倉時代です)のたぶんフランスの作曲家で、ラテン語では「ペロティヌス(Perotinus)」と呼ばれています。音楽史的には、「ノートルダム楽派」の「ポリフォニー音楽」ということになっています。「ノートルダム楽派」とは、パリのノートルダム大聖堂で活