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本日の一曲 20世紀第3四半期の音楽

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連載「本日の一曲」のうち、1951年~1975年の音楽をまとめました。
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#本日の一曲

本日の一曲 vol.389 キャメル 醜い画家ラヤダー (Camel: Rhayader, 1975)

キャメルは、「本日の一曲」では、「アイス」で紹介したことがありました。 今回ご紹介するのは、1975年にリリースされたキャメルの3作目のアルバム「白雁(スノーグース)」に収録された曲です。このアルバムは、ポール・ギャリコ(Paul Gallico)さんの小説「スノーグース」をもとにしたアルバムです。 英語版Wikipediaによるサマリーでは、「戦争の恐怖を背景に、友情と愛の再生力を描いた簡潔な寓話である。障害のためエセックスの湿地帯にある放棄された灯台で孤独な生活を送っ

本日の一曲 vol.386 ジミー・クリフ 遥かなる河 (Jimmy Cliff: Many Rivers To Cross, 1969)

ジミー・クリフさんは、1944年7月30日にジャマイカ・セント・ジェームスで生まれたジャマイカ・レゲエ界のビッグ・ネームです。 本日ご紹介する「遥かなる河」は、ご存じない方が一聴するだけで「いい曲だな」と思えるような奇蹟のような曲です。 ジミー・クリフさんは、1972年公開のジャマイカの映画「ハーダー・ゼイ・カム(The Harder They Come)」に主演しており、この映画でも「遥かなる河」がサウンドトラックとして使われていました。 「ハーダー・ゼイ・カム」のタ

本日の一曲 vol.380 クラフトワーク アウトバーン (Kraftwerk: Autobahn, 1974)

ドイツ語で「kraftwerk」とは「発電所」の意味で、バンドの「クラフトワーク」は、ラルフ・ヒュッター(Ralf Hütter)さんとフローリアン・シュナイダー(Florian Schneider)さんが中心となり、1971年にセルフタイトルのアルバムでデビューしました。アモン・デュール(Amon Düül)、タンジェリン・ドリーム(Tangerine Dream)、カン(Can)などとともに「クラウトロック」の代表格と言われています。 クラフトワークのデビューアルバム、

本日の一曲 vol.370 ジョン・ハンディ スパニッシュ・レディ (John Handy: Spanish Lady, 1966)

ジョン・ハンディさんは、1933年2月3日生まれのアメリカ・ダラス生まれのサックス奏者です。オークランドのマック・ライモンド高校を卒業した後、サンフランシスコ州立大学で音楽を学び、朝鮮戦争に従軍した後、1958年に同校を卒業、ニューヨークに移住し、ジャズ・ミュージシャンとして活動する一方、サンフランシスコ州立大学などで教鞭をとっていました。 本日ご紹介する曲は、ジョン・ハンディさんの有名なアルバム「モンタレーのジョン・ハンディ(John Handy Recorded Liv

本日の一曲 vol.369 石川セリ 谷川俊太郎 武満徹 死んだ男の残したものは (1965)

「死んだ男の残したものは」は、谷川俊太郎さんの作詞、武満徹さんの作曲により、1965年に「ベトナムの平和を願う集会」で友竹正則さんによって披露された曲です。この曲を石川セリさんがカバーし、1995年にリリースされた石川セリさんの「翼~武満徹ポップソングス」に収録されました。 簡単に説明しますと、谷川俊太郎さんは1931年12月15日に東京で生まれた詩人、武満徹さんは1930年10月8日に東京で生まれ、1996年2月20日に65歳で東京で亡くなった作曲家、友竹正則さんは193

本日の一曲 vol.363 プーランク フルート・ソナタ (Francis Poulenc: Sonate pour flûte et piano, 1957)

フランシス・プーランクさんは、1899年1月7日にフランスのパリで生まれた作曲家です。プーランクさんの父エミールさんは、化学薬品などを製造していたローヌ・プーラン社の共同の社長さんであり、プーランクさんはその後を継ぐことを期待されていたのですが、音楽の道に進み、フランスの「6人組」の一人とされる作曲家になりました。 プーランクさんは、ピアニストとしての腕前も確かであり、しばしば演奏会にも出演していました。その作風については、「軽妙洒脱」と言われていますが、宗教作品も多く、「

本日の一曲 vol.362 アップル・ミュージック はじめてのヘンリー・マンシーニ (1957-1992)

ヘンリー・マンシーニさんは、1924年4月16日生まれのアメリカの作曲家です。ジュリアード音楽院で学びましたが、1943年にアメリカ陸軍航空隊に入隊、そこで、グレン・ミラーさんの「アーミー・エアフォース・バンド」(Army Air Force Band)に参加しました。除隊後、作曲家マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ(Mario Castelnuovo-Tedesco)さんや同じくエルンスト・クルシェネク(Ernst Krenek)さんに師事し、作曲のスキルを広げ、その後、

本日の一曲 vol.356 ビートルズ ヘルター・スケルター (The Beatles: Helter Skelter, 1968, cf. Koji Ueno & Dmitri Shostakovich)

ビートルズの「ヘルター・スケルター」というと、いくつも記事が書けてしまうだろうという名曲です。「2018 Mix」バージョンでどうぞ。最後、「おや?」と思いますので、最後までお聴きください。 英語の「helter-skelter」とは、16世紀末に誕生した言葉だそうで、「あわてふためいた」という意味です。イギリスでは、20世紀初めに「ヘルター・スケルター」という遊園地のすべり台が登場しました。 日本では、もっぱらビートルズのハード・ロックの曲として、その名前が親しまれてき

本日の一曲 vol.355 エンジェル 来日記念 タワー (Angel: Tower, 1975)

本日ご紹介するのは、キッス、クイーン、エアロスミスに続く(はずだった)ハード・ロック・バンド、エンジェルです。エンジェルは、現在、47年ぶりの来日中です。 エンジェルのセルフタイトルのデビューアルバム(1975)の記念すべき1曲目「タワー」です。ただ、エンジェルのアルバムのうち、デビューアルバムから4枚目まではサブスクのメニューにはありませんので、1980年にリリースされたライヴ・アルバム「ライヴ・ウィズアウト・ア・ネット(Live Without A Net)」に収録され

本日の一曲 vol.349 ピーター・ポール・アンド・マリー 風に吹かれて (Peter, Paul And Mary: Blowin' In The Wind, 1963)

ピーター・ポール・アンド・マリーは、テノールのピーター・ヤーロウ(Peter Yarrow)さん、バリトンのポール・ストゥーキー(Paul Stookey)さん、コントラルトのマリー・トラヴァース(Mary Travers)3人のコーラス・グループです。彼らは、マネージャーのアルバート・グロスマン(Albert Grossman)さんのオーディションにより集められたメンバーであり、アルバートさんによって売り出されたグループでした。 アルバートさんは、1959年にニューポート

本日の一曲 vol.344 フレッド・マクダウェル ユー・ガッタ・ムーヴ (Mississippi Fred McDowell: You Gotta Move, 1965)

「ユー・ガッタ・ムーブ」はアフリカ系アメリカ人のスピリチュアル・ソング(いわゆる「黒人霊歌」)です。黒人霊歌は、16世紀から19世紀まで存在していた大西洋奴隷貿易で奴隷として連れてこられたアフリカ人の歌です。 歌詞は、おおよそ次の内容になっています。「神様が準備できたら『動か』なきゃいけない」という意味です。 You gotta move You gotta move You gotta move, child You gotta move But when the Lo

本日の一曲 vol.343 プロト・メタル・アルバム10選 (1968~1973)

「プロト・メタル」とは、最初のヘビーメタルという意味です。 イギリスのサイト「LOUDER」に標題の記事がありましたので、ご紹介します。 ランディ・ホールデン / ポピュレーションⅡRandy Holden: Population II (1970, not released in Japan) ランディ・ホールデンさんは、1945年7月2日生まれのアメリカのギタリストです。 ブルー・チアー / サマータイム・ブルースブルー・チアー・ファースト・アルバム:サマータイム

本日の一曲 vol.342 カーペンターズ イエスタデイ・ワンス・モア (Carpenters: Yesterday Once More, 1973)

ご紹介カーペンターズは、1946年10月15日生まれの兄リチャード・カーペンター(Richard Carpenter)さんと、1950年3月2日生まれの妹カレン・カーペンター(Karen Carpenter)さんの兄妹のデュオです。カバー曲も多く手掛けましたが、兄のリチャードさんがソングライティングを、妹のカレンさんがボーカルを担当するというのが大体の役割分担でした。シングルのヒット曲も数多くありましたが、カーペンターズの音楽の最大の魅力は、カレンさんの明快なボーカルにあっ

本日の一曲 vol.340 カーティス・メイフィールド スーパーフライ (Curtis Mayfield: Superfly, 1972)

カーティス・メイフィールドさんは、1942年6月3日にシカゴで生まれ、幼少のころからピアノやゴスペルに親しみ、10歳のときに初めてギターを手に入れ、14歳にときにバンドを組み、このバンドが16歳のときにザ・インプレッションズ(The Impressions)になりました。 インプレッションズは、1965年の「ピープル・ゲット・レディ(People Get Ready)」など、いくつかのヒット曲を飛ばしましたが、カーティスさんは、1970年にインプレッションズを離れ、ソロ活動