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色々あった一級建築士試験ストレート合格体験記(学科)


はじめまして、さくらもちと申します。

2023年一級建築士試験に学科•製図に合格しました。

2023年度は
学科試験
受験者28,118人 
合格者4,562人 
合格率16.2%

製図試験
受験者10,238人
合格者3,401人
合格率33.2%

総合合格率9.9%

大手資格学校によると、
全国ストレート合格者は1,075人

学科からの受験者28,118人で割ると、
7/23に試験会場にいた人の約3.8%
(計算間違えていたらすみません)

勉強を始める前にこの数字を見ていたら受けていませんでした💦
詳しく調べず、一念発起で資格試験に臨みましたが、ある意味それで良かった…

勉強を進める中で、資格学校や合格体験談などでも自分と同じ境遇の方がおらず、合格に向けた自分の立ち位置を常に不安に思いながら勉強していました。

もし私と同じような境遇で、これから取得を目指される方がいれば参考にしていただければと思ったのと、
自分のこの一年の戦いが薄れないうちに書き残しておきたいと思い、noteを書いてみることにしました。


私の簡単なプロフィールです。

年齢   30代
家族   妻、子供1人
仕事   現在は建築と無縁の仕事
住居   地方都市
今まで持っていた資格 宅建

数年前まで建築系の会社に勤めていました。
大好きな会社でしたし、やりがいのある仕事でしたが、毒支店長の着任により環境が一変しました。

パワハラや、性格の悪い上司は過去にも大勢いましたが段違で毒。

社員や関連会社への愛が無い。
客前ではいい人演じるが、お客様に不誠実。
利益と出世には貪欲。

一つや二つではなく、全て欠けてる人がいるやと、勉強になりました。

組織のトップの毒は、どんどん社員のモチベーションを奪い、結局私は悩んだ末に建築と全く関係のない職種に転職する道を選びました。


転職後、健康的な生活がスタートしました。
本来なら喜ばしい事ですが、何故か心に残るモヤモヤ…

思い当たる原因は
•建築への未練
•前毒支店長への怒り
•転職して久々に感じた学歴へのコンプレックス
•畑違いの職種で感じる無力さと場違い感

日に日に建築の知識は薄れていくし、
子供や自分の年齢的にも、
「建築士になれない人生」
     or
「建築士になれる人生」
の分かれ道でした。
でもお金も時間もかかるしな〜…

そんな時、
気晴らしで行ったモデルハウスで、
奥さんの
「私はやっぱ家やキッチン見るの好きだな!」
という何気ない一言にハッとしました。

俺も単純に建物を見たり考えるのが好きで、
好きな事を勉強するのは楽しいし、
お金や時間は言い訳だな。
今は資格を使わないけど、使い道は取ってから考えよう!

やっと覚悟が決まりました。

二級建築士を持っていない私でしたが、
どうせ取るなら一級が欲しいと思い、
「日曜日は学校で潰れるが、土曜日は試験直前1ヶ月等以外は家族のためにあてる」
事を条件に奥さんに一年間の猶予をもらい、
ヘソクリを切り崩して資格学校Nに入学しました。

Nへの入学の決め手は、新卒時にSの無理やりな勧誘を受け、横柄な態度を不快に感じ、今後一切関わりたく無いと決めていたためです。

Nは営業スタイルは本当に大丈夫か?っていうくらいお人好しで商売っ気が無い印象でしたが、
入学後親身になってサポートしてくれる対応に好感が持て、とても感謝しています。

唯一、Nへ入学の不安材料は、
「Nの法令集が見にくいのでは?」
と言うことでした。

とにかくネットの評判が良くなかった😂

ただ、Tのを使って講義受けても問題ないと聞き安心しました。
結局は、Nも数年前からB5版の法令集になったそうで、私はNを使い続けて特に支障はありませんでした。


ここからは、そんな私の勉強の進め方を書いていこうと思います。

本講義スタート前の勉強の方法(9月〜12月)



9月15日頃Nとの手続き終えました。
講義は12月からスタートとの事で、構造のテキスト1冊をもらいました。
ただ、モーメントや座屈すらも分からなかった…
恥ずかしい…

二級建築士持っていない
大学でまともに勉強してない
高校物理も忘れてる
現在は建築の仕事してないため、日常的な業務から、建築の知識がストックされない
勉強に長いブランクがある
身近に一級建築士がいない
妻子持ちでの受験

そんな理由から、
一級建築士合格までの競争を、底辺からスタートしている自覚はありましたが、
本当にその通りだと実感しました。
簡単な高校物理の理屈から叩き込まなければならず、本当に苦戦しました。

過去に宅建で合格基準点付近狙いで、結局1点足りず落ちた経験があったので、
一級建築士を受けるなら、90点では無く100点目指さないと落ちると思い、
気合いで10月末までに構造テキストを一通り終えました。

11月の頭〜12月の開校までの約1ヶ月半、
資格学校からの指示は特にありませんでしたが、
「現時点で受験者の最下位。早く人並みに追いつきたい」
と思い、前年度のビデオ講義がWEB視聴できたので、1日1コマずつ見ました。

誰かのYouTubeで、
最初にすべきは「構造」「環境設備」との事だったので、とりあえず、その2科目を一周しようと思いました。

ビデオ講義を止めつつ要点や図をノートに記入し、視聴後にビデオ学習したばかりの知識で、
「分野別厳選問題500+125」
という分厚い過去問の中の該当問題を解きました。

その結果、12月の本講義スタート前に構造と環境設備に関しては、講義と厳選問題を一通り終わらせ、
前年度の本試験問題にチャレンジしました。

確か構造15、環境設備12くらいでしたが、
とりあえず2科目出来たのが自信になりました。

話が変わりますが、
勉強を始めてから悩んだのが勉強場所についてです。
地方住みの場合、県内に資格学校の校舎が数えるほどしかなく、仕事帰りに資格学校に寄るのはまず不可能。
更に家には子供がいるため、勉強できるような環境ではありません。
勉強できる環境の選択肢が少ない点は、首都圏との格差を感じました。

私の場合は、幸運にも車で行ける範囲で23時まで開いているカフェを見つけられ、
子供の寝かしつけが終わった21-23時までの2時間を基本の学習時間とし、
週4〜5くらいのペースで通いました。

本講義スタート(12月〜4月頃)


私は学習の内容に関しては、特殊な事はしていません。
Nの方針通りに進めました。
「過去問を10年ぶんやらなければ受からない」
と聞いたりもしましたが、まずNの宿題をサボらずやり、全ての授業に出席する事を優先しました。

勉強の内容ではありませんが、時間を作るの工夫した事は以下の通りです。

①土曜日は家族と夕方まで過ごし、19:00-23:00まで勉強に出かける
私は家族との約束があったため、土曜日は夜間のみが学習時間です。
日中は日帰りで買い物やレジャーで出かけ、どんなに疲れていても、夜勉強に繰り出しました。
日曜日の学校の宿題を土曜日に一気にやることが出来ないため、金曜日までに終わる目処をつける学習法にしました。

②講義後の時間を有効活用する
Nでは16時頃講義が終わり、私の校舎ではほぼ全員すぐに帰りました。
私は家に帰ると自分の時間の確保が難しいため、奥さんには講義が18時まである事にして、講義後2時間必ず勉強して帰りました。
これを12月から7月まで徹底しました。

③法規を朝6:00-7:00まで毎日行う(3.4月)
法規はめちゃくちゃ苦手で壊滅的でした。
確か小テスト3/10もありました。
講義に全くついて行けず…
苦肉の策で、「まずは質より量」と考え、毎日法令集に向き合う事で、感覚が抜けないようにしました。
理解できなくて1問に1時間くらいかかる事もあったし、とにかく辛かった…

④飲み会の日は12時間勉強した後に参戦する
毎日勉強勉強だとストレス溜まるので、たまには友達と飲みに行きたいけど、飲んで帰った後に勉強するのはきつい😭

そこで、飲み会の日はなんとか定時ダッシュし、職場の近くのカフェや学習スペースで1.5時間勉強してから飲み会に参戦しました。
遅れた理由など色々言い訳は必要になりますが、これで「勉強してない」という罪悪感無くなりました。

④手帳に学習時間を記入する
学習時間の結果を記録用として手帳に記入しました。
私の場合は細かく計画すると、続かなくなるだろうと思い、勉強内容は記載せず、合計時間のみを記載しました。
結果として、勉強量の見える化できた事で自身になりました。

⑤昼休み30分は必ず勉強する
この30分重要です。
家に帰って1.5時間勉強するだけで、1日2時間勉強したことになる安心感があります。

⑥誘惑を断つ
私はスプラトゥーン大好きですが、よりによって勉強を始めた頃に3が発売されました😂
やりたい気持ちはありましたが、試験終わるまでは気が散るので買わないと決め、その他の全てのゲーム(携帯含む)を辞めました。

また、お酒も断ちました。
記憶したものがこぼれ落ちる気がしたので、飲み会もノンアルだけで過ごしました。

何かを得るためには、何かを捨てないといけません。

上記のやりくりの結果、
学習時間は
12月77.25時間
1月105時間
2月100.25時間
3月107.7時間
4月105.5時間
となりした。

3月は仕事が忙しい中、2-3時間睡眠での勉強を続けた結果、めまいがひどくなり耳鼻科を2回受診しました。

本番100日前(4-5月頃)

模試がゴールデンウィーク明けにあり、
この時点での得点は85/120
N基準では「準合格圏」という判定でした。

やっと人並みになってきた嬉しさがあった反面、「GWのまとまった時間があったのに今このレベルで100日後受かるのか!?
と不安になりました。

そこで、5-7月に月1回ずつ金曜日に有給をとり、一日中図書館に籠る作戦を開始しました。

これは、土曜日の日中勉強ができないぶんの勉強時間を確保したかったのと、
直前に有給をまとめて取るよりも、要所要所で取る方が効果的だと考えたからです。

職場からの建築士受験への理解は得れなかったため、資格試験の話はせずに、単に有給という形で時間を確保しました。

この平日図書館での勉強が本当におすすめです!
土日は席の取り合いになる図書館も比較的空いていて、すごく集中できました。
普段の勤務の時間と同じタイミングで家を出て、定時くらいに帰宅できるので、家族には通常勤務と変わり無く、負担も少なく済みます。

学習時間
5月120時間

本番50日前(6月)

この辺りで資格学校の5科目のカリキュラムが終わり始めます。
Nでは6月末に第2回模試がありました。
「90点取らないと本番落ちる」と思い、
ここからもう一段勉強のピッチを上げました。

①まんが喫茶の解禁
21-23時のカフェの後、23:30-1:30までの漫画喫茶通いました。
これが思いの外ハードで家に帰りたい自分との戦いでした…

②昼休みの小テスト
カリキュラムが終わった事で、宿題に当てていた時間を、自分のやりたい学習にあてられる様になりました。
そこで行ったのが昼休みの小テストです。

Nに通っている方ならわかると思うのですが、
講義ごとにAテスト、Bテスト、Cテスト(以下、A.B.Cテスト)を行ってきましたが、
アレがめちゃ使えます!
ぜひ大切に取っておいてください!

通常の講義時は制限時間40分くらいで行うA.B.Cテストは、お昼休みの30分でタイムアタックするのにピッタリです。

例えば、
環境設備はこの時期までの講義で、
テキスト1冊を第1回〜第3回の3部構成に分け、
それぞれA.B.Cテストがあるので、
計9回小テストを行っているかと思います。

そのA.B.Cテストを昼休みにするのに、
私ははじめは、講義の順番通り
第1回A→B→C
第2回A→B→C
第3回A→B→C
というように、同じ学習範囲について解いていました。

しかし、オススメは
第1回A→第2回A→第3回A
第1回B→第2回B→第3回B
第1回C→第2回C→第3回C
と言うように、
薄く全範囲を終わらせるやり方です。

全範囲を薄く何度も解く事で、短時間で科目全体を把握できるようになり、効率的に記憶できました。

5月までの学習方法に上記の方法を加えた結果、6月末の第2回模試の結果は105/125となり、クラス内で1位になりました。

(この時は気づいていませんでしたが、Nではこのテスト100点を超え、いくつかのハードルをクリアすると特待生になり、落ちても全額返金or次年度無料で学科講座受けられるそうです。)

ただし、
やらかしたのが、模試に照準を当て過ぎてテスト後に発熱し、次の1週間はペースダウンする事になりました。
試験前の体調管理は気をつけてください。

学習時間
6月135.25時間

本番20日前(7月)

7月23日の本番まで泣いても笑ってもあと少し!

Nの最後の第3回模試が7月9日にありました。
結果は97/125
悪くはないのですが、平均点が92点と高く、
周りの皆の本気度が伝わってきました。
正直もっと出来た感じもあり…悔しかった。

前回6月の反省を活かし、今回は発熱しませんでしたが…

710日、奥さんがコロナ陽性の診断を受けました。

何故今?😭

我々家族はなんとかコロナから逃げてきましたが、ついに捕まりました。
狭い賃貸で隔離するのは本当に大変です。

ただ、落ち込んでいる暇も無い。
試験直前で頭が冴えていたのですぐに切り替える事ができ、絶対自分は発症しないと自己暗示をかけました。

Nの直前講座に行けなくなりましたが、子供をお風呂に入れて、20時までに寝かしつけ、20:30-23:00カフェ
23:30-1:00まんが喫茶
というルーティーンをなるべく守りました。

学科試験の勉強で1番辛かったのもこの時期で、ある晩1:30に帰宅すると、誰もいないはずのリビングから音が…
ゆっくりドアを開けると真っ暗なリビングで3歳の子供が待っていました。

「起きちゃったからパパ帰るの待ってた。」

と申し訳なさそうな顔で言われた瞬間目頭が熱くなりました。本当にごめん😭

この思いを来年もさせたくないから、
絶対コロナにならないし、絶対合格する。

奥さんは試験直前に日常生活に戻れるくらい回復しました。
ここまで、もうやれる事は全てやりました。

学習時間
7月(22まで) 131時間

試験本番(7/23)

結果
計画16
環設15
法規26
構造25
施工18
合計100

正直施工は足切り引っかかったと思うくらい不安でしたが、結果的にはなんとかなりました。

解答速報見るまで顔面蒼白でしたが、
自己採点し終えたと同時に、○×つけていた鉛筆を投げ捨て、奥さんと子供と3人で喜びました!

色々な事があったけど、ひとまず製図に挑戦できる権利を得ました。

記録を始めた12-7月の学習時間
約882時間
(9.10.11月も含めると約1000時間)



今後、後編として製図試験までを書こうと思います。

聞いてはいたけど、ここからはじまる製図の勉強が本当に大変だった…後編に続きます。

色々あった一級建築士ストレート合格体験記(製図)


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