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泳げない人はダイビングできますか?とよく聞かれますが、泳げる人はできるとは限らないはなし

先日、Twitterでこんな質問をいただきました。

『ダイビングで立ち泳ぎをしている友達に「もっと身体を寝かせて」と言ったのですが、立ち泳ぎのコツとかありますか?』

ひょんなことから連載を始めた「初心者ダイバーさんに捧げるマガジン」も少しずつ読者さんが増えてきて、時々ご質問いただくことも増えてきました。ありがたやーーー!

ダイビングにまつわるいろんなシーンを現場で積み上げた経験をもとに、特に医学的な見地とか学術的な裏付けもないままAKARIが言いたいことを感覚的に書き綴っております。『次のダイビングの時にやってみよ!』と少しでも楽しみのスパイスになれればと毎週月曜日から金曜日まで毎日書いております。

このご質問に関しても、感覚的にAKARIが勝手に深掘りしているだけですので、もしご質問の意図とズレてしまっていたら、ごめんなさい。

さて、ご質問の内容の中でどうしても引っかかったワードは…

立ち泳ぎのコツについて教えてください。

立ち泳ぎ?ダイビングで立ち泳ぎ?

甦る過去のダイビング…あぁ、あれは辛かった。

水深30m以上のポイントの中層15mくらいのサンゴの根集合で、ウエイト7キロをデリバリーした話

サイパンにはバンザイと呼ばれる夏季限定の大物ポイントがあります。

ここは両サイド切り立ったサンゴの根のトップに潜降ロープが設置してあって、水面は波だっていて水中は激流のことも多く、年に数回しか入ることもできない。

通常そこでは潜降ロープの根元集合でエントリーすることが多くて、その日もその予定で始まりました。

Sさん(仮名)は経験本数100本以上、スキルには特に問題のないダイバーさんだったのですが、華奢な体型の割にはウエイトをすごく使う方だなと思っておりました。

確かに立派な5ミリのフルスーツを着ていたのでその分もあるかなとは思っていたのですが、身長170センチくらいの細めの男性なのに7キロ? 要るかなぁ?

いつものようにワタシは水面待機でエントリーするゲストと潜っていくゲストを監督してると、

「AKARI! Sサン、ウエイトワスレテル!」とキャプテンが。

え!?マジ?特に普通に潜降していったけど…。

まさか、7キロのウエイトを忘れている人とは思えないほどスムーズな潜降をしていったSさん。

でも一応持って行った方がいいと判断して、BCDに空気をパンパンに入れて、7キロをデリバリーしたんですよ…激流ですよ。腰にウエイトベルトを2本装着してね。腰が折れるかと思ったよ。

集合場所では、何事もなかったように普通にいるSさん。

『ウエイトついてますか?』

と聞くと、多分絶対忘れてないと思っていたんでしょうね。かなり怪訝な表情で、腰のあたりを探ると…ない。ない…

ないーーーー!!!

気がついた途端にふわふわと浮き始めた!

マジかー。言わなきゃ良かった〜涙。

ふわふわしているSさんが激流の中ウエイトを水中装着するのをサポートしながら、このメンタル浮力の恐ろしさってのを痛感しましたよ。

メンタル浮力の正体とは一体。

泳力が時に邪魔をする件

以前の記事にも書いたことがありますが、とにかく無意識に手足を動かすダイバーさんがいます。

もうね、これは完全に無意識レベルなので根本的な意識改革をしないと、どうにもならんのです。

本人には全く悪気はない。

悪気はなくとも逮捕案件ですよ。

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できるものなら、手錠をかけたいくらい手足を固定してあげたい。

ホントにかけたら多分炎上だな。ダイビング中にガイドに手錠をかけられたなんて。

昔、水中で身体を触られたってめちゃ炎上しているガイドさんいたけど、そのガイドさんを知る限りそんなことしないと思うんだけどなぁ…って。そりゃサポートする時に身体に触れることあるだろーよ…変な気持ちで触ったわけではないと思うんだけどなーって思ってた。ま、多分そのゲストさんも他に何か気に触ることがあったから、全ての記憶がマイナスに塗り替えられてしまったんだろうなーって。難しいところですよね。

また、話が飛んだ。

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とにかく、手錠をかけて身体が沈むようならウエイトは重すぎなんです。もう、言ってることがカオスだけど。

ウエイトが重すぎてるから、下半身が下がるんです。

沈みがちだから、足を止められない。

足が動き続けるから、空気の消費量が多くなるんです。

もはや、歩いているワタシの横でずっとジョギングしながらついてきているようなもので、そりゃ息も上がるでしょーよ。

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とくに男性ダイバーに多いのが、重すぎるウェイトをパワー(泳力)で補っている方。

身軽な状態で歩いているワタシに、荷物をたくさん持ったまま小走りでついてきたら、息も上がります。

息も上がるから、やっぱりウェイトは重めじゃないと浮いちゃう。

もう、負のスパイラル。トラブルの雪だるま状態。

逮捕します。


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とくに100本くらい潜ってきた方なんかは、ウェイトが重すぎる状態で中性浮力をとる方法を体得しちゃっているので、ウェイトを軽くしただけでは浮いちゃうだけなので、解決はならないところが難しい。

泳げる方、泳ぎが得意な方、水泳をやっていた方は特に足を動かしてしまっていて、手は無意識でスカーリングをする癖がついているかもしれないと、一度見直してみて。

ダイビングの理想の体勢をまずは上書き保存してください。

理想はこれ。

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スカイダイビング。*本当のスカイダイビングではないので、手は小さくまとめてね。

こうすれば、フィンでサンゴを蹴ってしまうなんていう失敗はまずなくなるし(フィン先が上を向いているからね)、何より止まれるようになる。

ダイビングって実は止まるのが難しい。

立ち泳ぎをしているダイバーさんは、止まってしまうと抵抗が少ないから、すとーーーんと沈んじゃう。

止まれないから、足を止めることができない。

あーーー、こんがらがってきましたね。

これはね、もう「卵が先か、ニワトリが先か」問題と同じく、思考が堂々巡りしてしまうやつ。

中性浮力で止まることが難しい、サンゴを蹴ってしまった、空気の消費量が人より多い、ダイビングって疲れるなどという諸症状に少しでも心当たりがある方へ。

メンタル浮力じゃないですか??とワタシは言いたい。

水中ではこうあるべきだと、今まで水泳にて積み重ねてきたそのイメージがメンタル浮力となって、さまざまな症状を引き起こしている場合があります。

10年以上経っても、あの激流で7キロをデリバリーしたこと・・・わすれられません。

Sさんは覚えているかな・・・?


ここまで読んでいただいてありがとうございました。今週の更新は本日でおしまいです。週末はぜひアーカイブを見直していただけますと、幸いです。

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