vol.1.2.1 鯨をとる町

鮎川浜にはかつて、いくつもの捕鯨会社があったが、商業捕鯨の中止と捕鯨産業の衰退とともに撤退した。鮎川浜の人だけの捕鯨会社を作ろうという思いとともに、この浜の名を冠して鮎川捕鯨は設立された。2008年の設立当時、求人募集をかけると働き手は十分に集まった。しかし2011年の東日本大震災以後、状況は変わった。この地域の運送業や建設業と同様、捕鯨産業も人材不足だという。捕鯨が盛んだった頃と比べると、今の捕鯨の規模はずっと小さい。「私たちは別に、世界的な仕事をしてるわけじゃないからね。ほんのちょっと海に行って、そこでいたずらしてる程度の鯨しかとってないから」と、鮎川浜で捕鯨に携わる方は話を聞かせてくださった。

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