自選短歌十五首
プラトンもアリストテレスも教えてはくれない進路も君の気持ちも
ピアノとは星空八十八の音をひかりの代わりにさんざめかせる
サンダルの紐なおしながら進む午後 ︎︎防波堤まで愛してあげる
ともだち、とあなたを呼ぶしかないことを戸惑いながら木洩れ日をゆく
信仰の有無を問われたときふいに口走りそうで困る、きみの名
カントリーサイド・ガールとしてきみの前髪をめちゃくちゃにしてやるよ
音源になっていない曲を浴びるとき心臓に差す傘を捨てるよ
You are you. 東京の秋の雑踏に何度でもきみの声よみがえる
名を呼べば喉から過去になることの煙でみえる木洩れ日きれい
カロリミットファンケル、だけで伝わって返されるカロリミットファンケル
野原までふたりで歩く、野原までふたりで歩くかどうか訊かれて
愛がほしい ドライフラワーにも古さ新しさがあることをわかって
この重みに首を絞められてもかまわないそこからは夢かわからなかった
話したいという感情をもてあます雪の生まれる音がきこえて
起きなくていい起きなくてかまわない、その奥でうずくまる白い猫
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