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ふわっとした瞬間

大好きな祖父と過ごす時間の中でも私のお気に入りは自転車に乗ること。
記憶をたどると当時の私は幼稚園生くらいだった。

「さぁ、外に行くぞ」とこの日も祖父と小学校の校庭にでかけた。

「今日は特別だ」と祖父の手がしっかりと握りしめていた私の自転車にはないものがあった。昨日まで確かについていたはずなのに。それがなんだったかは公園に行くまで思い出すことはできなかった。

公園に着いて、祖父は自転車の後部を押さえたまま、私に乗るように言った。

「あ。。。。。」おじいちゃんがしっかり支えてくれていないと自転車がグラグラする。初めての感覚だ。

自転車をよく見ると、昨日まで後ろについていた小さな車輪(補助輪)がなくなっていた。小さな私はそれが何を意味するのか、その時はわからなかった。

「おじいちゃんが後ろを支えているから、いつものようにペダルをこいでごらん」祖父は言った。

私はいつものようにペダルをこいだ、一生懸命こいだ。

そしてふわっと風にのった感覚

遠くの方でおじいちゃんの声が聞こえる。

自転車を祖父が見えるほうへ走らせてみるとようやく現実が理解できた。

私は補助輪なしで自転車に乗れていた。それまで四輪で走っていた私は二輪で走っていたのだ。

怖さはなく、風と一緒に自転車で走っている感覚、心地よさ。
目の前に見える風景さえも違って見えた。広がったような感じ。

さすがおじいちゃん、自転車屋をやっているだけに自転車の乗り方のツボを心得ている。

あの乗れた時の感覚を今でも思い出す。

フワッ ふわっ

自分を受容できるようになったマインドフルネススキルを皆さんにシェアして社会に貢献していきたいです。これから色々なことを発信していこうと思います。サポートは、これらの発信活動と学びに使わせていただきます。