見出し画像

今年も7月17日海の日、ジュゴン能「沖縄平家物語」を上演いたします!(3/3)

 第二幕の最後は、ハワイのフラをジュゴンの母と、平家カニで踊ります。みなさんご存知の「アロハ・オエ」です。ハワイ王国最後の王位についた女王リリ ウオカラニ(1838〜1917)が作詞作曲しました。ウクレレの伴奏で歌われるこの曲は、「アウアナ」という現代的フラに分類されています。古典的なフラは「カヒコ」と呼ばれ、神に捧げる神聖な歌と踊りです。ハワイは、ハワイの人々の国でした。しかし砂糖産業が進むにつれ、次第にアメリカ資本がハワイの経済を支配し、1887年憲法が改正されます。外国籍の男性に選挙権を与え、選挙資格に資産、収入を条件としたので、実質上ハワイの人々から選挙権を奪いました。その「銃剣憲法」が発布されます。発布しようとしますが阻止され、リリウオカラニは王権を放棄せざるを得なくなりました。

 当時の米国大統領民主党のクリーブランド 1837〜1908)は、それでもハワイ共和国を存続させましたが、1897 年、共和党のマッキンリー(1843〜1901)への政権となり、マッキンリーはハワイ併合法案に署名をし、ハワイは米国に一つの州になりました。憲法改正のことは、よく考えた方がいいです。誰がなぜ今の日本国憲法を改正したいと思っているのか?ハワイの歴史を学ぶことも一つだと思います。

 リリウオカラニの「アロハオエ」は、葬式、お別れの曲として、歌われるようになりました。ハワイアンの曲といえば、一にも二にも誰もが「アロハオエ」を取り上げることでしょう。「さようなら(アロハオエ)」と歌いかけるのはハワイ。ハワイよ、さようならと、人々は思いを込めて歌っているのでしょう。

谷に降り注ぐ大粒の雨 森の中を流れゆく谷の花アヒヒ・レフアのつぼみを探してさようなら貴方さようなら貴方木陰にたたずむ素敵な人別れの前に優しい抱擁をまた会えるその時まで

 7代目の国王はリリウオカラニの兄、カラカウアでした。彼は日本の明治天皇に会い、姪のカイウラニ王女と明治の皇室の山階宮との婚姻を申し入れました。そして太平洋からアジアにかけて王国の連合を作ろうと。明治天皇はそれを断りました。ヒトる藻場の広がる海。ジュゴンによって繋がっている海さえ、ヒトは断ち切ろうとしているのです。

 私たち一人ひとりの心をもう一度、取り戻すためにも、ウチナーにザン(ジュゴン)が帰ってくるのを願わずにはいられません。


海の絶滅危惧種 ジュゴン能「沖縄平家物語2023」

  • 日時7月17日(月・祝)海の日 13:30開場14:00開演

  • 会場:代々木能舞台

  • 場所:東京都渋谷区代々木4-36-14

  • アクセス:京王新線「初台駅」東口または中央口(南口出口)より徒歩5分/小田急線「参宮橋駅」より徒歩7分

  • 料金:前売り3.500円、当日4,000円

  • 作品サイト・ご予約
    https://www.sakurai-makiko.com/jugon2023


バックナンバーはこちらからご覧いただけます


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?