「じっくり聞いタロウ」で「塀の中の美容室」の取材の話をいたしました。

タイトル通りでございます。2021年1月28日(日付は1月29日)の「じっくり聞いタロウ」に、なぜか私が出るらしいです。

デビュー時に写真が世に出ているので、今さら隠すものもないしなあ……ということもありますが、作家になるまでは、年に1回も東京へ行くことさえなかった地方在住の人間としては、テレビ出演というのは、かなりハードルが高いことではあります。

ミーハーな自覚はありますので「近くで芸能人を見てみたい」という動機もあったりするのですが、「見る」というのと、「出る」という間にはかなり隔たりがありまして、それはそれは……少し悩んだりしたわけであります。少しってところが、アレですけど。

それでも、出るのはやっぱり、いろいろ思うことがあるわけですが、決めた一番の理由は、デビューした時のことで、いまだに後悔していることがあったからです。


私が作家として世に出たのは、19回の電撃小説大賞を受賞したからです。ライトノベルの世界では、その当時恐らく最高の投稿数で、注目されていた賞の一つだったと思います。それまで、多くの賞に投稿していた私ですが、出版につながる受賞はこれが初めてで、出版業界とも縁遠い生活をしていた私にとっては、「はい、今年はあなたの作品が大賞ね」と言われたところで、さて、どうすれば……状態。

気持ち的には、次の作品に取り掛かりたいというのが一番あって、しかもプライベートは今よりバタバタしていて、普段の仕事も今よりソコソコしていて、頭の中はパニック。

そんな中、受賞作「きじかくしの庭」の発売前は、いろいろとプロモーションをしてもらったように思います。ありがたいくらいに。

でも、バタバタしているんですよ。そしてこの業界のことはまったく分からない人間なんですよ。

その中で、今でも後悔しているのが、少しお断りしたプロモーションの事案があったということです。

ハイ、私がバカでした。

ですが「今考えると」です。あの頃はそんな余裕はなかったし、知らなかった。言い訳ですけどね。そして、断らなかったからといって、あの作品の売り上げに変化があったかといえば、恐らくなかっただろうとは思います。

でも8年くらい作家生活をしていると(そのうち、3年くらい本が出せないのですが)、一つの作品を世に出すまでに、どれだけ多くの人がかかわり、どれだけたくさんの力が加わっているかを、さすがに理解します。自分がどれだけ恵まれたスタートだったかということも、あとになって気づきます。

同時に、どれだけ作者が望んでも、出版したことさえ知られずに消えていく作品が多いかということも……身をもって実感します。。。プロモーションって、作家が望んでもしてもらえないということも。

「塀の中の美容室」は、私がこれまで出版した中で、一番と言っていいくらい、多くの人に助けてもらった作品です。そしてコミカライズによって、想像を超える多くの人に知ってもらった作品でもあります。

今回「取材のときの話を聞かせて」というお話でしたので、さらに作品を知ってもらう機会にもなると思い、出演させていただくことに致しました。

作家が表に出ることがプラスなのかマイナスなのか、(ミーハーな私でも)さすがに考えはするのですが、それでもやっぱり「与えられた機会はありがたくお受けする」というスタンスで今後も進むつもりですので、この機会に作品を知っていただければ嬉しく思います。


できれば、3月に出る新作と、恐らく間をおかずに3月とは別のところからもう1作出していただく予定ですので(予定ですよ!)、そちらも手にしていただけると嬉しく思います。

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