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そこまでひどい家庭環境じゃなかったのに、なぜこんなに苦しいのか(2)

心理カウンセラーの飯道さくらです。

師走の山を乗り越えようと奮闘していたら、すっかりご無沙汰更新となりまして。皆様お元気でしょうか。

2ヶ月くらい前にこんな記事を書きました。

私の家庭は、そこまでひどい家庭ではなかったんです。

(いや、父がアルコール依存症ってだけでひどいかな??笑
こういうのは基準が曖昧で難しいですね)

金銭的に困っていたわけでも、虐待のようなこともなかった。

だけど、私は、40年間くらいずっと、めっちゃくちゃな生き方をして苦しんできたわけです。

それがどうしてだったのか。

最近、この問いに対する気づきがさらに進んでいて、今日はその話を書こうと思います。


それはね、
「父も母も、私の心を知ろうとしない家庭で育ったから」
です。

これはわたしがカウンセリングを受ける中で気づいたこと。
というよりカウンセラーさんに教えてもらって気づいたことです。


私は小学生の頃から、母や祖父母の財布からせっせとお金を盗んでいました。

中学生の時は、内緒のお財布にいつでも数万円くらい入っていました。

それが見つかった時、母は「なんであんたはそうなの。お小遣いが足りないの?」と泣いていました。

私は、次見つかったらめちゃくちゃ怒られそうと思って、お金を盗むという行為はやめたんでした。

この話をした時に、カウンセラーさんは
「お金を盗むというのは子供の心のSOSだけど、お母さんはそれに対してどうしてそういうことをしたの?なにか悩んでるの?と心に向き合おうとしてくれなかったんですね」
というようなことをおっしゃってました。

これを聞いた私は、まず、
え?普通はそういうことするの?
カウンセラーでもないのに、無理じゃない?
と感じたのでした。


でも、この気づきは、砂に水が染み込むように、じわじわ、じわじわと私の中に広がってきたのでした。


元夫の仕事の大問題が起きて家計が大打撃だった時、母からの最初の一言は
「元夫君が大変なんだから支えてあげなさい」
だった。

私が離婚すると伝えた時は
「あんた何言ってるの!子供達がかわいそうだからもう少し待てないの?」
だった。

正月の集まりに元夫を呼ぶというので(当時は離婚したてで結構もめていて、元夫を呼ぶのはやめてと伝えてあった)、じゃあ私は行かないと言ったら
「私が死ぬまでにもう一回、皆で集まりたかったのに無理なのね」
だった。


私に
「大丈夫?」
「何があったの?」
「辛い思いをしていない?」
とは聞いてくれない母だったんですね。

私の気持ちは聞いてくれない母だった。

それは子供の頃からずっとそうでした。


だから私は、自分の中の悲しさ、辛さ、苦しさを、家族はもちろん他の誰かに話す、という発想すら持っていなかったのでした。

本当に、カウンセリングに出会うまで、ほぼ、そういうことをしたことがないと思う。

辛いことがあっても、1人で抱え、1人で泣き、1人で乗り越える、が当たり前でした。

誰かに伝えるのはある程度乗り越えた後。
笑いながら「大変だったんだよ~」と話す時だけ。

本当に1人で生きようとしていたんだなぁ。
だから苦しかったんだなぁ。

心理学を学び、カウンセリングを受け続けて指摘されてきたことだけれど、自分の中で初めて、育った家庭との因果関係と今の苦しさが言語化された感覚がありました。


多くの人は子供の頃から、親が心の中を慮ってくれて、辛い思いを受け止めてくれて、だから辛い時は誰かに頼ることができる、というのが普通なのか…。

私にその発想がないのは、そういうことをして受け止めてもらったことがないからなんだな。

だから私は、弱音や愚痴を言う人が苦手だったんだなぁ。
受け止めてもらったことがないから、どう受け止めていいかわからない。

そういう人を受け止めてあげる優しい人達を見て、自分だけすごく冷たいような宇宙人みたいな気がしていたけど、なるほど、経験からくる習慣の差だったのかぁ。

これが、私がずっと苦しかった一因なんだなとやっと理解しました。


母は私と妹が大好きだと常々口にしていたし、それは本当だと感じていたし、本当にやりたいことはやらせてくれたし、温かい思い出もたくさんある。

だから私は、母のことを「毒親!」みたいには思えないんですね。
あまりにも母に失礼だと思ってしまう。

母の人生も相当色々ありましたから。
きっと、母も同じように育って、誰かに苦しい気持ちを受け止めてもらうことを知らなかったんだろう。

母も大変だったんだろうな。

そんなふうに先に母を「理解」をしてしまうんですよね。


でもそうすると、その「理解」を使って、自分の感情を抑え込んでしまう。
苦しかった自分を無視してしまう。

例え母に悪気がなかったとしても、それでも母の言動が原因で

私はとても傷ついてきた
私はとても苦しんできた
私はとても寂しかった

こうやって自分の傷に目を向けて、ちゃんと認めてあげないとだめなんですね。


当たり前のことを当たり前にしてこなかった私だけど、でもこれはすごく珍しいことじゃないと思うんです。

クライアントさまにも、私とおなじような方が何人もいらっしゃいます。
彼女たちに、最近いつもお伝えしていること。

お母さんを愛しているから、理解しているから、責めたくないから。
お母さんも大変だったから、しょうがなかったから。

そうやって、自分の傷をなんでもなかったように扱うのはやめましょう。
1人で泣いてきた自分にちゃんと気づいて抱きしめてあげましょう。

それは誰かを責めたり傷つけることにはならない。
そうすることに罪悪感を感じる必要はないんです。

(みんな本当に優しくて、傷ついた自分を癒すより誰かを傷つけないでいることの方を優先してしまう…!)

自分の気持ちをまず一番大切にしましょうね。

そして少しずつ、自分の心の一番やわらかい部分を誰かに差し出していく、という練習をしていきましょう。

そんなことを、心の底からの理解&共感とともにお伝えしている今日この頃です。



そしてですね、こんなこともありました。
先日、私が息子(中2)に言った一言が、息子を傷つけてしまいました。

息子は無言で自分の部屋に戻ると、ドアをバーンとしめて、1人で部屋のなかで何か言ってました。

その時、私は、「ああ、これだ。息子は私だ!」と思ったんです。

私も実家にいたころはずっとこんな感じだった。
その一言が嫌だった、こういう気持ちになって傷ついた、と母に言う習慣がなかったし、それを言ったとしても謝るということはない母でした。

(そう、これも私の母の特徴の一つ。絶対謝らない)

だから1人で「私は怒ってます!」というアピールをしていた。


私は母を反面教師に自分の子育てとはかなり向き合ってきたつもりです。

何かあったら絶対に謝る、とか、否定的な言葉は言わない、条件付じゃない子供そのものの存在を認める言葉をかけ続ける、は徹底してきました。

でもそれだけでよかったわけじゃないんですね。

きっと、私も母と同じ。
辛いときの息子の心に目をやって、どうしたの?大丈夫?という声をかけてこなかったんだと思う。

だから息子は、かつての私のように1人で部屋で怒ってる。

少し落ち着いた後、息子と話をしました。

息子はやはり、「言っても、どうせ受け止めてくれない」と感じていたようでした。

今まで気持ちを受け止めてあげていなかったことを謝って、これからは息子の気持ちをちゃんと受け止める、絶対にそうするよ、と真剣に、真剣に伝えました。

息子の様子を見て、ちゃんと伝わったと感じました。

私が感じてきた苦しみを、息子の幸せに変えられるように、私はこれから本気でがんばります。


私が「心」について、とてもいいなぁ、好きだなぁ、と思うこと。

それは「何歳で取り組み始めても遅くない」というところ。
私個人は、手遅れということはないと思っています。

この記事を読んでいただいて、「私も同じかも」と思ってくださった方がいたら、是非カウンセリングにお越しくださいね。

世界はあなたが思っているより優しいし、あなたは自分が思っているような迷惑な存在じゃない。

そういうことを腑に落とせるように、一緒に取り組んでいきましょう!


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根本裕幸ラジオな時間!2024/11/24号
「 自分の本当の感情を理解して素直にそれに従って生きるにはどうしたらいいのかな?」 with 飯道さくら


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